「猫の災難」


 
あらすじ 朝湯でさっぱりして長屋へ帰って来た熊五郎、酒は飲みたし銭はなし。表を隣のおかみさんの頭としっぽを持って通った。の病気見舞いにもらった鯛で、身の柔らかい所を食べさせて、残りを捨てに行くという。熊さんは、もったいない眼肉が美味いんだと、頭としっぽだけの鯛をもらい受ける。そこへ兄貴分が来て、胴の所にザルを被せた鯛を見つけ、尾頭つきの鯛で一杯やろう、酒は自分が買って来ると言って出て行く。

 今さら頭としっぽだけの鯛とは言えず困った熊さんは、隣の猫に登場してもらうことににする。兄貴分が一升の酒瓶を抱えて帰って来ると、熊さんは、おろした鯛の身を隣の猫がくわえて行ってしまったとごまかす。隣に文句を言って来いという兄貴分に熊さんは、日ごろ隣には世話になっているから我慢してくれと言う。しぶしぶ兄貴分は代わりの鯛を買いに行った。

 さあ、目の前に酒瓶を置かれた熊さんは、もうどうにも止まらない酒好きだ。兄貴はあんまり呑まないから、一杯ぐらいならと呑み始め、もう一杯、また一杯、そのうちにうっかり酒瓶を倒し、畳に口をつけちゅうちゅうと吸い出す呑兵衛ぶりだ。もう酒瓶には少ししか残っていない、また隣の猫にお出まし願うしかなく、「隣の猫がまた来たから、追いかけたら座敷の中を逃げ回って、逃げるときに酒瓶を後足で引っかけて、全部こぼしちまった」と言いわけすることにし、そうと決まればこれっぽちの酒を残しておいてもしょうがないと全部呑んででしまった。風呂上りですきっ腹に冷や酒を一升、すっかりいい気持ちになった熊さんはそのまま畳の上にゴロッとなって寝てしまった。

 やっと鯛を見つけて買って帰った兄貴分は、酒が一滴もないのにびっくり、また隣の猫の仕業にする熊さんだが、へべれけに酔っぱらっている熊さんを見て、「てめえが呑んじゃったんだろ」に、熊さんは、「猫が倒してこぼれたのを吸っただけだよ」とまだ言い逃れしている。兄貴分は「よーし、おれが隣にどなり込んで、猫に食うもの食わせねえからこうなるんだって文句を言ってやる」と息巻く。

 そこへたまりかねた隣のおかみさんが来て、「ちょいと熊さん、いい加減にしとくれ。さっきから聞いてりゃ、隣の猫、隣の猫って。家の猫は病気なんだよ。お見舞いの残りの鯛の頭としっぽを、お前さんにやったんじゃないか」で、悪事露見、これで全部バレバレとなった。
兄貴分 「この野郎、どうもようすがおかしいと思った。やい、おれを隣に行かせて、どうしようってえんだ」

熊五郎 「だから、猫によ〜く詫びをしてくんねえ」


         





柳家小さん『猫の災難【YouTube】







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