「浮世床」


 
あらすじ 髪結床で若い連中がワイワイと馬鹿話で盛り上がっている中に静かに薪屋の大将が本を読んでいる。姉川の合戦の本多平八郎と真柄十郎左衛門の一騎打ちだというので、声を出して読んでくれとせがむ。俺のは読みだすと立て板に水どころか立て板に豆で止まらなくなるから、同じところは二度と読まねえと、読み始めたのはいいが、「えー、ひとつ、ひ、ひとつ・・・・まからからから、しふろふざへもん(真柄十郎左衛門)、敵にむかむかむか・・・むかついて」、若い衆「そんなにむかつくなら金だらい持ってこようか」、「敵にむ、向かって一尺八寸の大太刀を・・・・・まつこう(真向)・・・・」、松公「今、呼んだか?」、「一尺八寸の大太刀を真向だ」、若い衆「一尺八寸は短かかねえか」、薪屋の大将「ちゃんとことわり書きがしてある。それは横幅で、前が見えるようにあちこちに窓を開けてある」なんて調子だ。

 片隅では将棋を指している。両方とも王将がいない。片方は王手飛車取りにされた時に、飛車を逃げたから、もう一方は取られないように初めから懐にしまい込んであるというからヘボ将棋を通り越している。

 こんなにうるさい中でも、半公はグウグウと鼾(いびき)をかいて寝ていて、揺すっても起きないが、「半ちゃん、飯だ」ですぐ起きて、最近は女に惚れられて疲れて身がもたないなんてノロケ話を始めた。芝居小屋で粋な年増と意気投合し、茶屋の二階で酒杯を差しつ差されつするうちに、次の間の布団の中へ・・・・」、若い衆「うまくやりやがって、それから」と身を乗り出すと、半公は「これからという時に起こしたのは誰だ!」と肩すかしだ。

床屋の親方が、あんまり周りが騒がしいので、
親方 「少しは静かにしてくれ。うるさいのに気を取られているすきに、銭を払わずにに帰っちまった奴がいる。印半纏(しるしばんてん)のやせた・・・・」

若い衆 「それなら、畳屋の職人だ」

親方 「道理で、床(とこ)を踏み(踏倒し)に来たんだ」


          



三遊亭金馬(三代目)『浮世床【YouTube】





式亭三馬の「浮世床」から





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