「五光」


 
あらすじ 旅の商人が山道に迷い、日も暮れかかる頃にやっと人里近くに出て、荒れ果てた辻堂を見つけた。濡れ縁に髪はバサバサ、髭ぼうぼうでボロボロの衣に輪袈裟かけて、手に数珠を持った坊さんが座っている。近づいて声をかけたが、目をカァーと見開き正面の松の木を睨んでいる。何を聞いても答えず旅人は無言の行の最中と思いあきらめて、人里への道らしき方向へ進む。あたりには田畑だったような所もあるが荒れ果てていて全く人影はない。真っ暗になる寸前に一軒の家が見えてほっとする。旅人は一夜の宿を乞うが、家の親父は取り込みがあるので他をあたってくれと言う。旅人は雨露をしのぐだけでもいいからと、なんとか家に入れてもらう。

 親父の勧めで囲炉裏の鍋から雑炊を食べていると、隣の座敷に若い別嬪のが寝ているのが見える。医者に「わしらの手に負えん、薬の盛りようもない」と見放され、こうやって死を待っているだけだと言う。旅人は疲れから横になったが、なかなか寝つけずにいると、「う〜ん、う〜ん」と娘がうめきだした。あまりの苦しみように、娘の方を見ると部屋の隅に何か座っている。よく見るとぼさぼさ頭でひげ面、ボロボロの衣の坊主が娘をじーっと睨みつけている。旅人はそれが辻堂で会った坊主だと気づく。うめき続けていた娘も夜明け近くには静かになり、見ると坊主の姿も掻き消えていた。

 親父に見たことを話すと、娘になんであんな魔物が取りついたのか分からず、加持祈祷やお祓いなどでも離れず、消えることはないと言う。旅人は娘をあの坊主から離す手立てを思いつき、昨日の辻堂まで駆けつける。案の定、坊主は縁側へ座って前の松の木を睨んでる。

旅人 「こら坊主!出家というものは人を助けるのがが役目やろ。何の恨みがあって、娘に執念深こうつけまとうねん。お前の一念でな、とうとう娘は今朝方死んでしもたぞ」

坊主 「え!死にましたか」、すると体がガタガタガタッと崩れ、縁側から松の方へガラガラガラと倒れ息絶えてしまった。坊主は娘に惚れて、その一念だけで生きていたのだ。とたんに激しい雨が降りだした。雨宿りをしようと旅人が辻堂の扉を開けると、中からサァーとまばゆい後光が差した。
見ると正面の祭壇の上の欄間のに鳳凰の立派な彫刻、両側の襖絵が満開ので、一面が満ち満ちてる。ひょっと外を見るとに、坊主に、で、(五光
後光が射すのは当り前でございます。





左から、松・桜・坊主(すすき)・桐・雨(柳)で五光
花札遊び


 途中までは、『いが栗』と同じ噺です。



桂米朝の『五光【YouTube】






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