「花見酒」  

 
★あらすじ 仲のよい兄弟分、花見に行きたいがお互いスッカラカン。兄貴分が花見をしながら湯呑み一杯の酒を五銭で売って儲けようと言う。酒屋で三升の酒と酒樽と五銭を借り、酒樽を担いで向島へ向う。

 後棒の弟分は朝から何も食べてなく、酒のいい匂いが漂って来るので我慢が出来ない。兄貴分はそれならさっき酒屋で借りた五銭で買って飲めばいいと言う。

 まことにごもっともで、弟分は兄貴分に五銭渡し、湯呑みに一杯ついで美味そうに全部飲んでしまう。見ていた兄貴分も飲みたくなって、今もらった五銭で一杯飲んだ。

 こうなると止まらない。お互いに五銭づつやりとりし、一杯づつ飲み続け向島に着く頃には酒樽は空に、二人はへべれけに酔っ払ってしまう。
 
 酒樽を降ろし、店開きをすると客が来る。柄杓で樽の中をすくうがむろん酒は入らない。客が樽の中をのぞくと空だ。怒って客は行ってしまった。

 全部売り切れたから売上げの勘定をしようと金を出すと、五銭しかない。

兄貴分 「三升の酒が売り切れて五銭とはどういうわけだ。おかしいじゃねえか」

弟分 「どういうわけって、はじめにおれが五銭で買って一杯飲み、次に兄貴が五銭で買って飲み、おれが買って飲んで、兄貴が買って、おれが買って、やっているうちに売り切れたんじゃねえか」

兄貴分 「ああ、そうか、勘定は合っているし、安い酒も飲めた。してみりゃ無駄はねえや」


  
  


古今亭右朝の『花見酒【YouTube】




向島の桜(隅田川の言問橋と桜橋の間)
        



東都名所 隅田川花盛

隅田堤


   



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