「花見酒」  春風亭柳橋(六代目)

 
★あらすじ★ 仲のよい兄弟分、花見に行きたいがお互いスッカラカン。
兄貴分が花見をしながら酒を売って儲けよう言う。
酒屋で2両の酒と酒樽、何も食べていないという弟分に芋でも買おうと1貫借り、向島へ向う。

1杯を1貫で売って酒全部売れば4両、差引き2両の儲けという寸法だ。
そして4両でまた酒を仕入れれば8両で売れ、4両の儲け。8両で酒を仕入れて16両の売り上げ。こんなうまい商売はないという算段だ。
向島へ向う途中、弟分が腹が減ってしょうがないというと、兄貴分も樽の中の酒のいい匂いがたまらないという。
弟分は、それなら持っている1貫で買って二人で半分づづ飲めばいいと言う。
兄貴分は弟分に1貫渡し、コップについで飲みはじめ1杯全部飲んでしまう。
弟分が怒ると、兄貴分は今渡した1貫で飲めばいいという。
弟分は受け取った1貫を兄貴分に払い1杯飲む。
こうなると止まらない。お互いに1貫づつやりとりし、1杯づつ飲み続け向島に着く頃には酒樽は空に、二人はへべれけに酔っ払ってしまう。
酒樽を降ろし、店開きをすると客が来る。
柄杓で樽の中をすくうがむろん酒は入らない。客が樽の中をのぞくと空だ。

全部売り切れたから売上げの勘定をしようと金を出すと、1貫しかない。

兄貴分 「2両の酒が売り切れて1貫とはどういうわけだ。おかしいじゃねえか」

弟分 「どういうわけって、はじめにおめえが1貫で買って1杯飲み、次に俺が1貫で買って飲み、おめえが買って、俺が買って、おめえが買って、やっているうちに売り切れたんじゃねえか」

兄貴分 「ああ、そうか、勘定は合ってる。してみりゃ無駄はねえや」


   

                   向島の桜(隅田川の言問橋と桜橋の間)


 ★見聞録★ 季節感のある噺を選んで聞きました。
子どもの頃、ラジオの「とんち教室」の解答者で笑わせてくれた、六代目の柳橋です。演じられたのはいつかは不明です。
七代目もすでに他界しているので、相当以前になると思います。

この噺は他の落語の枕で語られることもあります。
金勘定のからくり?を扱った噺には、「壷算」「三方一両損」などがあります。
「落ち」の分類では、「考え落ち」でしょう。 「花見酒」はどうでしょう。
「考え落ち」ではなく「間抜け落ち」でしょうか。
確かに、兄貴分の言うとおり、勘定は合っているし、無駄もありません。
ただ、残ったのは借金のみ。

それにしても、この噺の兄弟分の仲の良さ、名コンビぶりは羨ましいです。
きっと酒を売り上げた?1貫で芋でも買い、笑って半分づつ食べながら帰って行ったでしょう。
酒屋から借りた2両と1貫のことなどは心配無用。
二人はいつもこんな感じで、生涯親友(珍友?)でいるでしょう。




東都名所 隅田川花盛



古今亭右朝の『花見酒【YouTube】

       



演目表(1)へ    表紙へ    次頁へ