「干物箱」

 
あらすじ
 大店の若旦那の孝太郎、吉原遊びが過ぎて親父から二階の部屋に缶詰めにされ20日も寝てばかりいる。親父から湯に行く許しを得たが、それも1時間限りで、それを過ぎたら勘当と言う。

 湯から戻ったら久しぶりに親孝行の真似事なんかでもしようかと考えたがそれも束の間、外に出たら吉原のなじみの花魁の顔がちらつき出し、どうしても行きたくなった。だが1時間ではとても無理。そこで頭に浮かんだのが貸本屋の善公だ。声色の名人で、親父が孝太郎の声と聞き間違えたことがある。

 早速、善公の長屋に行き3時間だけ俺の部屋にいて身代りになれと談判だ。孝太郎を道楽者にしたのはお前のせいだと、大旦那から目の仇にされていていやがる善公を、縞の羽織と10円で釣って交渉は成立。親父から聞かれそうな代りに行った俳句の会のことを紙に書いて教え込む。巻頭の句が「親の恩夜降る雪も音もなし」、巻軸が「大原女や年新玉の裾流し」で準備万端だ。

 孝太郎は店に一緒に戻り、「お父っさん、ただいま帰りました」と言って善公を二階へ上げた。親父は全く気がつかない。孝太郎は3時間制限の吉原行きを決行だ。

 善公は二階の孝太郎の部屋で吉原の遊びを思い出し一人で喋っていると、下から俳句の会のことを聞いてきた。これは想定内で無難に切り抜ける。次は台本にない無尽のことを聞いて来た。しどろもどろで答えて急場をしのぐと、今度は泉屋さんから熱海の土産にもらった干物のことだ。「何の干物だったか」に、「魚の干物」、「どこにしまってある」に、「干物箱」と答えると、「持って下りて来い」という。

 弱った善公「腹が痛くなった」、親父「薬を持って行ってやる」、善公「もう直った」で、怪しんだ親父は二階へ上がって来た。布団を頭から被った善公だが、親父に見つかり悪巧みがバレてしまった。

 そこへ孝太郎が戻って来て、下から小声で「善公、忘れ物だよ、洋ダンスの引出に紙入れ忘れた。そこから放っておくれ、善公」と呼ぶ。二階から下りて来て、

親父 「てめぇ見てぇな親不孝、どこへでも行っちめぇ」

孝太郎 「善公は器用だ、親父そっくり」




古今亭志ん朝の『干物箱【YouTube】


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