「一人酒盛」


あらすじ 宿替えしたの家に友達の吉さんが手伝いにやって来る。壁紙を貼っていた男は手伝うことは何もない、ゆっくり酒でも飲んでいってくれと言いながら、部屋を片付けさせ、火を起こさせ、湯を沸かせ、水を汲んで来させ、水瓶を洗わせ、鍋焼きうどんの出前を頼んできてくれと、立て続けに用を言いつける。

 男は吉さんに上燗を飲ませるからと酒の燗をつけさせ、まだぬるいとか熱過ぎるとか言いながら一人で呑んでいる。吉さんは漬物でお茶を飲んでいるだけだ。酔ってきた男は吉さんに向かって言いたい放題。子どもの頃のことまで持ち出して米さんを馬鹿にして笑っている。男は「♪梅は咲いたか、桜はまだかいな♪」と唄いだす始末だ。

 男はそばで不機嫌面、仏頂面している吉さんに、「えらい恐い顔して、何か気に入らないことがあるの? 人間ちゅうものは酒呑んだら、呑んだよな気にならんといけんよ」と説教しだした。

 挙句の果てには黙って睨んでいる吉さんに「気に入らんことあんのやったら、何もこんなとこへ居てもらわんでもえぇねん。去(い)ねバカ!」、さすが人のいいの吉さんも、「ふざけやがって 二度と来るもんか」と怒って帰ってしまう。

そこにうどん屋の出前が来た。

うどん屋 「今すれ違ったお方は、うどんの注文に来てくれたお人と違いまんのんか?えらい怖い顔で出て行かはりましたけど」

男 「ハッハッハァ〜、放っとけ放っとけ、酒癖の悪い男じゃ」



笑福亭松鶴の『一人酒盛【YouTube】


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