「法華坊主」

 
あらすじ ある村の法華宗の坊さん。村の若後家の相談相手になっているうちに深い仲になって、夜に訪れては朝早く寺に帰っていた。後ろめたい気持ちからか、もう後家さんに飽きたのか、ある朝、が「コケコッコー」と鳴いたのが、「ホッケボーズ」と聞こえた。

 坊さん「これはお祖師様が鶏の声を借りて私を戒めなされたに相違ない。南無妙法蓮華経・・・、私は寺へ帰ります。そなたとの縁も今日限りといたします。もはやこれまでじゃ」と、出て行ってしまった。

 後に残された後家さん、また頼る人がいなくなってしまったと、茫然として坊さんの後ろ姿を追って外へ出ると、鶏が「コッカコウ、コッカコウ」

 後家さん 「ほんまに気のきかん鶏やわ。あんなとこで鳴き声立てるもんやさかい、あの人帰ってしもたやないか。まっこと腹の立つ」と、鶏めがけ、そばにあった(いかき)をパッと投げつけると、鶏はパッと飛びのいて、「ゴケッコワコワ(後家恐恐)、ゴケッコワコワ」


 
         





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