「包丁」


 
あらすじ 他にいい女が出来たので世話になっているの清元の師匠のおあき(安喜)と分かれたくなった久次は一計を案じ、兄弟分のを鰻屋の離れでもてなして、悪だくみの片棒に誘い込む。久次のいない留守に寅が家に上がり込んで酒を飲み、おあきに言い寄った所へ久次が出刃包丁を持って踏み込んで、「よくも亭主の面に泥を塗りやがったな」で、間男事件の一件落着。おあきを田舎の芸者かなんかに売り飛ばして二人で山分けするという算段だ。金のない寅もすぐ乗って来て、思い立ったが吉日、すぐに実行だ。

 段取り通り、寅はおあきの家に上がり込み、手持ちの酒と場所を教えてもらった佃煮と漬物を出して飲み始めたが、身持ちの堅いおあきは全く寅を相手にしない。寅は歌を唄いながら、おあきに手を伸ばすが、ピシャリと叩かれ、ドスンと強くぶたれ、「我慢をしてたら、つけあがって。ダボハゼみたいな顔をして女を口説く面か、ブルドック野郎」と、すごい剣幕に圧倒される。そこまで言われて切れた寅は、久次との悪巧みを一部始終ぶちまけてしまった。

 事情を飲み込んだおあきは寅に、久次の面倒を見て来たのにこんなひどい仕打ちをされ我慢できないから、久次を追い出して寅と一緒になるから加勢してくれと頼む。おあきは寅を新しい着物に着替えさせ、酒と肴で仲良く飲んでいる所に、久次がやって来て戸の隙間から覗いて、「あいつはお芝居がうめ〜や。あんな堅い女に酌をさせて」と、すっかり仕込んだ芝居の筋書き通りだと思っている。

 久次はガラッと格子戸を開けて、「やいやい、よくも亭主の面に泥を塗りやがって」と勢いよく踏み込んだが、
 「もうだめだだめだ。おめえ、見得切ったてだめだよ、もう筋は割れちゃったんだ」。
おあき 「出て行くのはお前の方だ」と、出刃包丁をひったくり、さんざん久次に毒付いて追い出してしまった。
二人で水入らずで飲み直し始めところへ、格子をガラッと開けて、また久次が戻ってきた。
久次 「さっきの出刃包丁を出せ!」

 「出してやれ。やい久次!四つにでも切ろって言うのか」

久次 「・・・・魚屋に返しに行くんだ」


     



三遊亭圓生の『包丁【YouTube】





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