「家見舞い」


 
あらすじ 兄貴分の竹さんが一軒家に引っ越したので、何か祝いの物を贈ろうと相談した義理堅い二人組。何がいいか直接聞こうと竹さんの家に行く。台所に水瓶(みずがめ)がないことに気づき、これに決めたと道具屋へ行く。備前焼の水瓶が十八円、安いのでも四円五十銭、持参金は一人が十銭、一人は0銭ではお話にならない。それでも図々しく負けろというと、道具屋は四円きっかりでいいという。しつこく「十銭と・・・いうわけには行かないかなぁ」を、道具屋は十銭値引きかと勘違いする。そりゃごもっともな話だが、「十銭で売ってくれ」であきれ返り、「冷やかしちゃあ困る」と二人を追い出した。

 別の古道具屋を当たると軒下に手頃なが転がっている。だめで元々、恐る恐る十銭で売るかと聞くといいという。それもそのはず肥瓶なのだ。贅沢なことは言っていられないと二人は肥瓶を洗って水を張り、竹さんの家に運び込んだ。知らぬが仏の竹さんは大喜び。何もないが酒でも一杯飲んで行ってくれと言われた二人、身体にしみ込んだ臭さに気づき湯へ行く。むろん湯銭は竹さん払いだが。

 湯から上がってさっぱりした二人は竹さんの家に上がり込んでの酒を飲み始め、出された冷奴を美味そうにパクリで二人は顔を見合わせた。
「この豆腐はどの水で冷やしたんで」に、竹さん「もちろん、今お前たちからもらった瓶からよ」で、二人は吐きそうになり、「豆腐は断(た)ってます」、竹さんが「じゃあ、古漬けを出して洗ったから食え」に、「漬物も断ってます」、
竹さん 「変な野郎どもだな、何でも断ってやがる。それじゃ、焼海苔でを食え」

二人組 「この飯はどこの水で炊きました?」

竹さん 「決まってるじゃねえか。てめえたちがくれたあの水瓶よ」

二人組 「さいならっ」

竹さん 「おい、待ちな。あの瓶の水がどうかしたのか。おゃ、こりゃひでえ(おり)だ。今度(こんだ)遊びに来る時、(フナ)、五、六匹持って来てくんねぇか。鮒は澱を食うというから瓶に入れるんだ」

二人組 「なに、それにゃあ及ばねえ。今まで肥(鯉)が入ってました」




    



備前焼の水がめ(『備前焼あさくら』より)



柳家小さんの『家見舞い【YouTube】





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