「笠碁」  柳家小さん(五代目)


 


★あらすじ★ 碁がたき同士が、今日は「待った」なしで碁打ちはじめる。しばらくして形勢の悪い方が「待った」と言い出す。
相手は待てないと言い、お互い「待て」「待てない」と強情を張る。
あげくの果てに一方はおととしの暮れに金を貸したのを恩に着せ、返す日を延ばしてくれと言われた時に、待ってあげたではないかなどと言い出す。これには相手も怒りだし、お互い「大へぼ」「大ざる」とののしりあって喧嘩別れとなる。

 そのうちに雨が何日も続き、「碁がたきは憎さも憎しなつかしし」の川柳どおり、喧嘩別れした相手がなつかしく碁が打ちたくてたまらなくなる。傘がないので、菅笠をかぶって出かける。こちらも碁を打ちたくてしょうがなく、碁会所では皆強すぎて相手にならないので、やっぱり喧嘩した相手が一番いい。
すると相手が笠をかぶって前を通りかかるが照れくさく、中へ呼び入れることができない。
相手も照れくさく前を何度も行ったり来たりするだけだ。碁盤を持ってこさせ一人でパチン、パチンと碁石を置き始める。相手も音が気になって近づいてくる。
 
 どうにもたまならくなって、内から「へぼ」と声を掛けると「へぼと言ったな、ざる」と中に入ってきて喧嘩別れしたことなどすっかり忘れて碁を打ち始める。なぜか盤に雨のしずくが落ちてくる。いくら拭いても落ちるので、ひょいと見上げる。
「ああ、まだかぶり取らねえじゃねえか」

 収録:昭和59年
NHKテレビ



     


 
★見聞録★
 いつもささいな事で喧嘩し、すぐ仲直りする碁がたき同士の大人げないというか、子どもっぽいかわいらしさが面白く、笑わせます。
お互い喧嘩別れしたものの、すぐに碁が打ちたくなり出かけて行くと、相手も待ちきれずにいる所のやりとり、心理描写が見事で小さんの顔と目の表情も見物です。
二人が盤面に向き合い碁を打ち始めると、一瞬こちらも笠をかぶったままなことを忘れてしまいます。
そして盤面に雨のしずく、上を見上げての「トタン落ち」となります。


立川談志の『笠碁【YouTube】



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