「袈裟御前」
★あらすじ 源氏と平家の争う時代に、常盤御前、静御前、巴御前、山吹御前、袈裟御前・・・と数多の御前の中でもひと際美人だったのが袈裟御前だ。
北面の武士、遠藤盛遠は袈裟を見た時から一目惚れ、頭の回転が止ってしまったようで、寝ても醒めても頭の中は袈裟のことばかり。
夫のある身の袈裟に横恋慕して、ストーカーのように執拗に迫る姿はもはや狂人だ。
盛遠 「俺の言うことを聞かねば、お前の母を殺すぞ」と脅された袈裟御前。自分は渡辺渡という夫のある身。たとへ命を取られても他の男の言うことを聞くなどという気持ちはさらさらない。しかし、盛遠を拒否すれば母親を殺される。板挟みになって思い悩んだ末に、
袈裟 「私は夫ある身ながら、さほど私を思し召してくださるなら、夫を亡き者にすればあなたの心に沿いましょう。今夜、八つの鐘を合図に、庭から夫の寝所にお忍びになって、夫をお討ちください」と盛遠に告げた。
その夜は袈裟は自分の部屋に夫を寝かせ、自分が夫の部屋で寝た。我が意を得たりと盛遠はその夜、源辺渡の屋敷へ侵入し、袈裟の指示通り寝所にいる渡の首を挙げる。
明るい所で首実験をしようと、首を抱えると手にべっとりと血がついた。よく見るとこれが飯粒。
盛遠 「しまった、今朝の御膳であったか」
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恋塚浄禅寺 「説明板」 『鳥羽街道』
文覚上人(遠藤盛遠)が殺した袈裟御前の菩提を弔うために建てた寺。
袈裟御前の恋塚(首塚)と、京都六地蔵の「鳥羽地蔵」の寺。
恋塚(袈裟御前の首塚)
北面の武士、遠藤盛遠が人妻の袈裟御前に横恋慕する話で、
カンヌ国際映画祭でグランプリを受賞した『地獄門』のもとになった。
右隣に「恋塚碑」も立つ。遠藤盛遠との間を”恋”にされたのでは袈裟も浮かばれまい。
また一説には、寺の近くの池に棲んでいた大鯉が、
夜毎に妖怪として現われたので退治して埋めた「鯉塚」ともいわれる。
文覚上人屋敷跡 (大御堂橋(滑川)を渡った突き当り)
『鎌倉街道(下の道①)』
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