「これこれ博打」(東の旅J)


 
あらすじ
 いさかいをしながらも無事に鈴鹿峠を越えて水口の宿に着いた、お伊勢参りから帰りの喜六と清八の二人連れ。
夜は雨となり、泊り客相手の手慰み賭場の開帳となる。賭け事好きな二人も仲間に入るが、博才がないのか、つきがないのか、インチキ賭博なのか二人ともすっかり負けて襦袢(じゅばん)一枚の哀れな姿になってしまった。

そのうちに手が入り賭場は大混乱の大騒ぎとなった。二人はこれ幸いにとスキを見て逃げ出し、近くの明神さまお社(やしろ)へ逃げ込んだ。ちょうど祭礼の日で神主がやって来ると、喜六は鏡餅、清八は御神酒徳利を持って、「神さんじゃ、神さんじゃ」と言ってお社から飛び出した。

神主や屋台の者たちが、何事かとびっくりしているうちに、「神さんじゃ、神さんじゃ」と言いながら、すし、あんころ餅、酒などを飲み食いしながら走り続けて庄屋の家へ飛び込んだ。ここでも「今、盗人に会って、身ぐるみはがれ襦袢一枚にされた」と言って、飲み食いする図々しさだ。そこへ境内から男が来て、今、明神さまのお社から神様が襦袢一枚で暴れ出したから庄屋に来てくれという。

ことの成り行きが分かってきた庄屋は喜六と清八に向かい、「お前さん方も、襦袢一枚でよく似ている。多分、これこれ(手を上げてのまねをする)の仕業じゃろ」

喜六・清八 「いいえ、これこれ(サイコロを振るまねをする)の仕業です」



    




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