「高野駕籠」

 
あらすじ 船場の旦那が、本妻お妾さん、手代の四人連れ、四丁の駕籠住吉さんに参ったあと、
旦那 「堺の大浜までやってくれ」、駕籠屋は久しぶりの遠乗りで喜んで、紀州街道を大浜まで来ると、旦那は船で釣りをしようと言い出す。女連中は船は怖いので嫌だと言う。

旦那 「そなら、駕籠で釣りしよう。駕籠屋さん海の中に入っとくれ。駕籠賃はずむよって」

駕籠屋 「えらいこと考えなはったな。けどこんな銭儲けは滅多にあらへんで・・・」と、四つの駕籠で海に入って釣りを始めた。

 釣りなんか慣れていない本妻とお妾さん、並んで釣り糸を垂れていたが、すぐにお妾さんの糸が本妻の糸にからんでしまった。

お妾 「ご寮人さんの糸が切れたらどんならん。私の糸を切ります」

本妻 「いえ、あんたの方に魚が掛かったらしいさかい、私の糸を切ったらええ」、「私が・・・」、「私が・・・」と互いに相手を立てて、ええ格好して言い争っている。

 それを見ていた旦那は釣り竿をカラリと投げて、芝居がかって、「ああ、恐るべし、恐るべし。これにて思い当たりしこそあれ。加藤左衛門尉繁氏は、女房、妾を一つに置き、見れば仲良き姿にて碁を打ちたる態なれど・・・黒髪溶けて蛇となる。髪と糸とは異なれど今まのあたり、この様を・・・」と、石童丸苅萱道心の心持だ。

旦那 「もう釣りは止めじゃ。おい駕籠屋、ちょっと浜へ駕籠を戻してくれ」

浜へ下りた旦那 「わし、チリ紙忘れた。駕籠屋さん、紙持ってぇへんか」と、紙を受け取って、どこかへ行ってしもうた。

 海では気がつくと旦那の駕籠がない。駕籠屋に聞くと、「浜に戻らはりました」、みな駕籠で浜へ向かう。

本妻 「どこへ行かはったんやろ」

お妾 「黒髪が蛇になったなんとか・・・えらい難しいこと言うてはりましたで」

手代 「さては苅萱道心のことを思い出して、出家するお心にでもならはったんと違うやろか」

本妻 「もしや髪を落としに高野山に行かはったと違うか」

駕籠屋 「へえ、紙持って浜のこうや(厠)へお出掛けになりました」







旧堺灯台大浜公園)  『竹内街道







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