「熊の皮」


 
あらすじ ちょっと頭の回転の鈍い亭主、いつも女房尻に敷かれっぱなしだ。仕事から戻って、水汲み、掃除、洗濯、米研ぎと散々にこき使われる。やっと夕飯にありつけると思ったら、横町の医者から祝い事の赤飯をもらったので、食べさせてあげるから先にお礼に行って来いと言われる。

 ぶつぶつ言いながら行こうとする亭主に、女房はお礼の口上を言わねばだめだと教え込む。「承りますれば、お祝い事がありましたそうで、おめでとう存じます。お門(かど)の多いところを、手前方までお赤飯をちょうだいしまして、まことにありがとう存じます。女房もくれぐれもよろしく申しました」と吹き込まれたが、むろん終いまで覚えられるはずがない。

 空きっ腹を抱え医者の家に行った亭主を、医者は喜んで家に上げる。亭主はなんとか、「承りますれば、お祝い事がありましたそうで、おめでとう存じます」、ぐらいまではしどろもどろになりながらも言えたが、もうその後は出て来ない。医者は出入りの御屋敷のお嬢様の病を治してあげたお礼に熊の皮をいただいたので赤飯を炊いたのだと言う。亭主は是非ともその熊の皮を見せてくれとせがむ。
亭主 「ずいぶんと毛深いものですね、これは一体何にするもんです」

医者 「敷皮だよ、尻に敷くもんだよ」

亭主 「あ、女房がよろしく言ってました」


   



桂文朝の『熊の皮【YouTube】




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