★あらすじ 売ってない物を言ってあちこちの店をひやかして楽しんでいる男二人。帰りに魚屋で5円の鯛(たい)を5厘に負けろと交渉すると、魚屋の親父は負けるという。
男が5厘払おうとすると、魚屋は鯛を耳元に持っていき何か聞いている。「5円の鯛を5厘に負けて売られたんでは、鯛仲間に顔向け出来ない」、と鯛がいやがっているから負けられないと断ってきた。
男はすごすごと引き下がるが、相棒が黙っていない。それなら5円で買おうという。そして鯛を3つに切って、それをまた4つ切りにし、出刃包丁の背で叩かせ、鯛をぐちゃぐちゃにさせて竹の皮に包ませた。
そして5円を払おうとしてお札を耳元に持って行き、「一度5厘に負けさせた物を5円で買うなんて、札仲間に顔向けが出来ないとお札がいやがっているから買えない」と言って帰ってしまった。
目茶目茶にされた鯛を見て、
魚屋の女房 「ほんまにあんたは、体(たい)のない人やな」
魚屋 「鯛があったから、こんな目に会った」
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