「寄合酒」

 
あらすじ 町内の若い連中が寄り集まって、一杯やることになる。世話役は500円の頭割りにしようというが、「立て替えてくれ」・「財布忘れた」・「財布はあるが中身を忘れた」など、空っけつばかり。すると黙って懐へ手を入れる男、500円出すのかと思いきや、「飲むと決まったから、パッチの紐をゆるめた」だと。

 あきらめた世話役は酒は自分が用意するから、材料と酒のつまみを一人一品づつ持って来るように言う。早速、棒だらを1本持って来た男、横丁の乾物屋で店主が新聞を読んでいるすきに、1本をかついで、1本を手に持ち、これいくらだと言うと100円という、男はかついでいるのを指してこれは公設市場で70円で売っていた、もう一度、市場で買ってこうと言って、そのまま1本持って来たのだ。

 次に数の子を持って来た男は、同じ乾物屋で数の子の上に風呂敷をかぶせ、小豆をくれと言うと、店主から隣の雑穀屋へ行け言われ、風呂敷をさぁーと取る時に一緒に数の子もついて来たなんという調子だ。

 今度は大きなを持った男が帰って来た。魚屋の荷から鯛をくわえて走って行く犬を追って、棒きれで叩いて犬が鯛を放したすきに拾って来たという。

 かつおぶし2本を持って来た男は、かつぶし屋のぼんぼんに鬼ごっこをやると言って、ぼんぼんに店のかつぶしを持って来させ、角にして追いかけたらぼんぼんが「こわい、こわい」と逃げて行ってしまったので、そのまま持って来たという。

 さて、材料が揃い手分けして料理に取り掛かる。
のウロコを「バリボリバリボリバリボリ」と取っている男のそばに犬が寄って来た。追っても逃げない。男は世話人にどうしようと聞くと、「ば-ん、とくらわせろ」と言う。男「どこをくらわせる」 世話人「どこでもいいからくらわせろ」 男は鯛の尾を食わせたが、まだ逃げない。こんなやりとりの末、頭も胴も犬に食わせてしまって、鯛の姿はなくなってしまった。

 焦げ臭いにおいがすると思ったら、数の子を炊いている男がいる。塩で揉むんだというと、ねぎを塩で揉んでいると言う。かつおぶしは釜でぐらぐらはよかったが、だしがらをざるに大盛りにして持って来た。汁はどうしたと聞くと、もったいないから痔の悪いやつがケツを温め、その後で足を洗った。残り湯にふんどしをつけてある。しぼって持って来ようかなんて有様だ。

世話役は手が空いている男に味噌を擂(す)らせようと、すり鉢を持って来させるが、擂りこぎが分からない。
世話役 「先のなれた、丸い、ぶらんとしているやつだ。あんたの真ん前にぶらさがっているやつだ」、勘違いした男、自分の股倉あたりを不思議そうに眺めている。やっと擂りこぎを持った男に世話役が頭を濡らせと言うと、自分の頭を濡らし始めた。

 わいわい騒いでいる、寄合酒の一席。

                                              
 桂春団治(3代目)
収録:昭和59年


         



この先は『田楽喰い(ん廻し)』へと続くのだが、別噺として演じられることが多い。



桂米朝の『寄合酒【YouTube】





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