「奈良名所」(大仏の目)(東の旅)

 
あらすじ 「いにしへの奈良の都の八重桜 けふ九重ににほひぬるかな」、くらがり(暗)峠を越えて奈良へ入った喜六、清八猿沢池のほとりの今日の宿の印判屋に荷物を預け、奈良の名所見物に出る。興福寺の南円堂、五重塔から鹿せんべえを自分たちで食べながら、東大寺南大門の仁王さんに挨拶して大仏の前まで来ると、黒山の人だかりで何やら騒いでいる。

大仏の片方の目玉が体の中に落ちたという。僧たちもやって来て、どうしたものかと手をこまねいていると、小さな孫を連れた老人がやって来て、自分たちで目を元通りにして見せるという。
老人は縄の先端に鉤をつけて投げ、大仏の下のまぶたにうまく引っ掛けた。今度は孫の出番だ。
縄を伝わってスルスルと目の所まで上り、ピョイと大仏の体内に下りて、目玉を拾い、内側から目玉をスポッとはめ込んだ。

これを見ていた見物人たちは、見事な連携プレーの早業に、やんややんやの拍手喝采だが、すぐに子どもが出られなくなったことに気づき、気を揉んでざわめき出す。
見物人の中には子どもは大仏の中に閉じ込められたまま死んでしまうと可哀そうがり、「ナンマンダブツ、ナンマンダブツ」なんて唱える者までいる。

喜六と清八も気が気でないが、助け出す妙案が浮かぶような輩ではない。
すると子どもが大仏のからスゥーッと出てきて、大仏さんの手の平の上にポンと飛び乗った。
見ていた見物人は大驚きで大喜びで、またもや拍手喝采、

見物人 「りこうな子だ、目から鼻へ抜けよった」



奈良の大仏(東大寺盧舎那仏)



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