「七度狐」(東の旅A)

 
あらすじ
 煮売屋で「村さめ」という村の迷(銘)酒を飲まされた清八と喜六、オヤジをだましてその隙に、イカの木の芽和いの入っているすり鉢を抱えて逃げ出した。
山道にさしかかる所で木の芽和いを全部たいらげ、すり鉢を草むらに放り捨てた。
それが昼寝をしていた古狐の額に当たり血がたらたら。この狐は七度狐といって人に仇(あだ)を受ければ、七遍続けて人を化かす性悪狐、ポーンとトンボを切ってだましに取り掛かった。

二人はすっかりだまされて、麦畑を川と思って裸になって、東海道の「大井川の渡し」のように「深いかぁ 深いかぁ」、「浅いぞぉ 浅いぞぉ」と渡って行く。自分の麦畑を踏み荒らしている百姓に見つかり我に返る。

今度は道を間違えたのかどんどん上って行き、いつの間にか日もとっぷり暮れて野宿も覚悟し始めた頃、前方に山寺を見つける。
尼さんに一晩の宿を乞うが、尼寺で男は泊められないが、本堂で通夜するということにしてくれて、雨露をしのげることになった。
尼さんは親切にも雑炊でもてなしてくれる。喜んだ二人だが、これが赤土、藁、草、イモリの「ベチョタレ雑炊」で食えた代物ではない。

尼さんは村の金貸し婆のお小夜後家の通夜に行くので二人に留守番を頼む。夜中には裏の墓場で骸骨がガチャガチャと相撲を取って賑やかで、さらに夜が更けると腹に赤子を残して死んだ娘が、廊下を赤子を「寝ん寝ん子」とあやしながら歩きとても情があるいう。
怯える二人に尼さんは阿弥陀さんの前の灯明さへ消さなければ、そんな物は出ないと言って出かけてしまう。

喜六は灯明に油を差そうとして醤油を注いで灯りが消えてしまって大騒ぎ。
すると尼さんと行き違いに村人がお小夜後家の棺桶をかつぎ込んで置いて行ってしまう。二人は隅に棺桶を置いてガタガタ震えている。すっかり夜更けた頃、棺桶の蓋を破り白髪を振り乱したお小夜後家が立ち上がり恨めしそうに、「金返せ、金返せ」。
二人は悲鳴を上げ、金を借りた者ではなく、伊勢参りの旅の者というと、お小夜後家は伊勢音頭を歌えだ。仕方なく♪「お伊勢七旅、熊野にゃ三度」と歌い始めると、お小夜婆さんが「よぉ〜い、よぉ〜い」と気味悪く合の手だ。

そこへさっきの百姓が現れ、石の地蔵の前で歌っている二人に、
「寺などあらゃせん、狐がムシロ持って立ってんのじゃ」。
百姓は悪狐を懲らしめようと追い詰めて尾を掴んで引っ張ると、ズボー。

百姓 「狐の尾が抜けた」
よく見ると畑の大根を抜いとった。


      


桂米朝の『東の旅』(発端〜煮売屋〜七度狐【YouTube】



大井川(東海道五十三次島田・広重画)


   大井川(大井川橋から)

二人が狐に化かされた麦畑はこんなに広かった?

大井川の渡し風景




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