★あらすじ 江戸の道具屋が田舎に掘り出し物を探しに出かけた。たいした収穫もなく江戸へ戻る途中の茶店で休みをとる。のどかな風景を眺めながら、麦茶にとうもろこしなんかを食べていると、縁台の下で猫が飯を食べているのに気づく。よく見ると猫の皿が、高麗の梅鉢茶椀で300両は下らない代物だ。
茶店の爺さんは知らずに猫の皿にしていると思い、なんとか梅鉢茶椀を巻き上げてやろうと、道具屋は、”将を射んと欲すれば先ず猫?を射よ”と、好きでもないのに猫好きを装って膝に上げ抱いてあやしたり、ふところにも入れての猫可愛がりで、この猫がたいそう気に入ったようにふるまう。
茶店の爺さんに頼んで道具屋はこの猫を3両で買い上げた。さらに猫に飯を食わせるには食べなれた皿がいいと言って、目当ての茶椀をもらおうする。
茶店に爺さんはこの茶椀は気に入っているので手放せないといい、木のお椀を渡そうとする。道具屋は、それなら茶椀も3両で買い上げようと持ちかける。
すると茶店の爺さんはこの茶椀は高麗の梅鉢茶椀といって捨て値でも300両もする高価なものだからだめだという。
道具屋は計画が失敗し、ふところに入れた猫に引っ掛かれ、小便もされるはでさんざんの有様だ。
道具屋 「なんでそんな結構な茶椀でもって猫に飯食わせたりなんかすんだい」
茶店の爺さん 「その茶椀で猫に飯食べさせていますと、ときどき猫が3両に売れますんで」
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