「猫と金魚」  

 
★あらすじ  旦那 「おい、番頭、番頭、困るんだよ。うちの金魚がなくなるんだよ」

番頭 「はぁ?あたし食べませんよ」

旦那 「隣のが来てうちの金魚食べちゃっうんだよ」

番頭 「お隣の猫が旦那の金魚食べたらあたしが怒られるんですか。お隣の猫とあたしと、できているとこうおっしゃりたいんで」

旦那 「そうじゃないよ。隣の猫の手が届かない高いとこへ、金魚を上げてもらいたいんだよ」

番頭 「ここらで一番高い風呂屋の煙突の上はどうでしょう」

旦那 「お前、大丈夫か?そんな高いとこに上げたら金魚見えないだろ」

番頭 「双眼鏡でのぞけばどうです」

旦那 「ふざけてないで、湯殿の棚に金魚鉢上げておくれ」

番頭 「はい、金魚鉢棚に上げました。・・・金魚はどこへ置いたらいいんでしょう。縁側でピチピチ跳ねてますが・・」

旦那 「こら、そんな馬鹿なことを。金魚が大事なんだよ。金魚上げてくれ」

番頭 「金魚棚に上げました。金魚鉢はどこに置きましょ」

旦那 「お前、いい加減に怒るよ。金魚鉢に金魚と水を入れ棚の上に置くんだよ」

番頭 「旦那の言われたとおりにしました。・・・けど、旦那に言ったほうがいいかどうか悩んでいるんことがあるんですが」

旦那 「なにを悩んでるんだい?」

番頭 「湯殿の棚の高さと、隣の家の窓の高さが同じで、開いている窓から猫が手を出して金魚鉢をかき回しているんです」

旦那 「馬鹿、そんなことで悩むな!なんで何で猫をつかまえてこらしめないんだよ」

番頭 「あたしは鼠年なもんで、猫は大の苦手でだめなんです」

 呆れた主人は、(かしら)の虎さんを呼びにやる。威勢のいいことばかり並べていた頭だが、猫をこらしめてくれと頼むと急に弱気になり、意気地がない。手下を三人ばかり連れて来て、足場を組んでからやるから三日ほど待ってくれなどという始末。

旦那 「ははぁ、お前さん、ほんとは猫が恐いんだな」、そこまで言われちゃと頭は威勢よく風呂場へ飛び込んだ。フロの中でドタンバタンと頭と猫の格闘する音が聞こえ、

旦那 「おぉ、やってるやってる、さすがは頭だ。遠慮しないで思い切りこらしめてやっとくれよ」、するとザブンという音と、「きゃ〜」という悲鳴と、「助けて〜」という頭の声。戸を開けて入って、

旦那 「どうしたんだ」

頭 「あたしは猫にはかなわない」

主人 「おまえは虎さんだ」

頭 「名前は虎でも猫にはかなわない。このとおり濡れねずみになりました」


    


 この噺は古典落語ではなく、漫画家の田川水泡が作った新作落語の傑作です。主人と番頭、頭(かしら)の虎さんのナンセンスなやりとりが笑わせます。

猫と金魚』(橘家圓蔵【YouTube】



のらくろ坂 《地図
坂上に田川水泡が住んでいた。坂名は漫画「のらくろ」から。
町田市の坂A






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