「両泥」


 
あらすじ 新米の空き巣島吉。珍しく今日の首尾は上々で、夜中に大きな風呂敷包を背負って歩いていると、路地から飛び出して来た寅吉と鉢合わせ。

 島吉が慌てて逃げようとすると、島吉の格好を見て腕をつかんで、
寅吉 「おっと、何も慌てて逃げるこたぁねえよ。俺も同業だ」と、島吉はひと安心。

島吉 「・・・盗んだ物はどうしたらいいんで」なんて間抜けなことを言っている。

寅吉 「おめえ藤四郎だな。古道具屋に行って放(ほか)しちめえな。おらぁここで待っててやるから」、島吉は教えられた古道具屋へ行って盗品を売っ払って、嬉しそうに銭を懐に戻って来て、

島吉 「おれと兄弟分になってくれ」と頼み込む。寅吉も兄貴なんて呼ばれて悪い気もしない。意気投合した二人は屋台のおでん屋で固めの盃を酌み交わす。

 だが、飲むとべらべらと喋る癖のある島吉は、平気で空き巣、大泥棒などと大声で話し始めた。そばでおでん屋の親爺が聞き耳を立てているので、寅吉は島吉を引っ張って店を出る。

 すると今度は島吉は自分の家で飲み続けようと言う。仕方なくついて行くと、島吉は見覚えのある路地へ入って行く。

島吉 「おれの家はここだ。さあ、兄貴遠慮なく入ってくれ」と言って、先に入った島吉はびっくり。家の中の目ぼしい物はきれいに無くなっている。

島吉 「おれが空き巣に入っている隙に、空き巣が入りやがった。それにしてもうまく盗みやがったもんだ」

寅吉 「そりゃそうだ。これはおれの仕事だ」で、怒る島吉に、

寅吉 「弟分になる奴の家と知ってりゃ入(へえ)らなかった。盗んだ物(もん)返(けえ)してやるからおれについて来い」と、今度は寅吉の家へ向かうと、寅吉は島吉が見覚えのある路地に入って行く。

寅吉 「ここから三軒目がおれの家だ」

島吉 「そこはさっきおれが入った家だ」



  






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