「山号寺号」


 
あらすじ 小僧をお供にして浅草の観音様にお参りに行く若旦那幇間(たいこもち)の一八(いっぱち)に見つかり、遊びのお供にしてくれとしつこくつきまとわれる。

若旦那 「今日は浅草の観音様へお参りに行くから駄目だ」

一八 「偉い!お若いのに、浅草寺ですな」

若旦那 「観音様だよ」

一八 「ですから浅草寺、あれは金竜山浅草寺に安置し奉る観世音菩薩・・・」

若旦那 「別に間違ってねえじゃないか。観音様を拝みに行くんだから」

一八 「まあ、そうですが。金竜山浅草寺、これがあそこの山号寺号で・・・」

若旦那 「何だい、そのサンゴウジゴウてえのは?」

一八 「の名との名で、どこの寺にも必ずあるんで、成田山新勝寺ってなもんで・・・」

若旦那 「じゃあ寛永寺は」、「東叡山寛永寺」、「増上寺は」、「三縁山増上寺」、「池上本門寺は」

一八 「長栄山大国院本門寺、みんなあるんですよ、定額山善光寺、高野山金剛峰寺、比叡山延暦寺・・・・どこにもあるんですよ」

若旦那 「よし、どこにもあるんだな、ここは下谷の黒門町、ここにもあるか。さあ探せ、探しゃあ、褒美に一円やらあ、なきゃ首だ、出入り差し止めだ」で、一八は一円か首かで必死に探し始める。

一八 「あそこに車屋さんが客待ちしてますでしょ。車屋さん広小でどうです」、

若旦那 「うん、なるほど、一円やらぁ」

一八 「あそこの家の前で、おかみさん掃き掃除」、「隣はお医者さんで、お医者さんいぼ痔

若旦那 「汚いのはだめだ」 向いから按摩さんがやって来て、

一八 「按摩さん揉み療治」、通りの店が「蕎麦屋さん玉子とじ、時計屋さん今何時、床屋さん耳掃除・・・・」、調子に乗った一八は次から次へ山号寺号を繰り出し、若旦那から一円をせしめて行く。

おかげで懐(ふところ)がすっからかんになってしまった若旦那「もう、いいよ」

一八 「おかげ様で、懐が暖(あった)かくなりまして・・・・」

若旦那 「どうだい、今度ぁ俺が一つやろう」

一八 「おや、若旦那が伺いましょう」と余裕しゃくしゃく。

若旦那 「今、お前にやった金、ちょいとこっちに貸しな」

一八 「いいですけれど、これはもうあたしのお金ですから・・・」

若旦那 「うるさい分かってるよ、いいか、この金をこう懐に入れてね、グイと尻を端折ってね」

一八 「若旦那の山号寺号は手数がかかりますな」

若旦那 「こうしておいて一目散(山)随徳寺

一八 「あぁー、南無山仕損じ」」



浅草金竜山朝の雪(広重)

浅草寺

 黒門町は、台東区に元黒門町東黒門町・西黒門町があった。
東と西の黒門町は江戸時代には新黒門町といった。今でも旧西黒門町に黒門小学校(上野一丁目)がある。
上野地区の旧町名』(台東区)


立川談志の『山号寺号【YouTube】


成田山新勝寺総門



東叡山寛永寺旧本坊表門 「説明板



三縁山広度院増上寺



長栄山大国院本門寺 此経難持(しきょうなんじ)坂
「法華経」宝塔品の偈文(げぶん)の文頭の文字をとって坂名にした。
石段は加藤清正が寄進したものと伝える。



定額山善光寺駒返り橋 「説明板



高野山金剛峰寺奥の院





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