「尻餅」


あらすじ 大晦日が近づき、近所ではをついているのに、亭主が甲斐性なしで餅屋も頼めない貧乏世帯。見栄っ張りな女房は近所の手前、せめて餅つきの音だけでもさせてほしいと文句たらたらだ。

亭主はうるさい女房を黙らせる妙(迷)案を考えた。景気よく餅屋を呼び込んで餅をつかせる芝居をしようというのだ。餅をつく音は女房のをペタペタと叩くという珍案だ。そんなはしたないことと、女房は渋ったが近所を見返してやりたい気持ちに負けて承知した。

 夜中に、亭主が餅屋の声色(こわいろ)で、「親方、毎度ありがとうございます。餅つきに参りました」と近所に聞こえるように大声で怒鳴り、一人で何役も孤軍奮闘だ。さあ、お次はの登場だ。

亭主は台所で女房の着物をまくって、手に水をつけをペッタン、ペッタンと叩いて餅つきが始まった。女房もしばらくは我慢していたが、寒いのと痛いのとアホらしさで、

女房 「あの、餠屋さん、あと、幾臼あるの?」

亭主 「へい、あと二臼です」

女房 「おまえさん、餠屋さんに頼んで、あとの二臼はおこわにしてもらっとくれ」



三笑亭可楽の『尻餅【YouTube】



餅つき(「江戸年中行事図聚」三谷一馬より)
賃餅引きずり餅


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