「試し酒」

 
あらすじ 近江屋の下男の大酒飲みの久造。主人のお供である大店を訪れる。近江屋は久造の飲みっぷりのすごさを自慢し五升は飲めるという。すると大店の主人はいくら何でも五升は飲めまいというと、近江屋は飲めるという。

 それじゃと久造を家の中に呼ぶ。大店の主人はもし五升飲めたら小遣いをあげるが、もし飲めなかったら歌か、踊りでもやれというが、久造はそんな芸はないという。すると近江屋がもし飲めなかったら、2.3日旅行にでも招待してご馳走すると約束する。

 久造はもし五升の酒が飲めないと主人が散財しなければならないと聞き、ちょっと考えるからと外へ行く。飲めそうにないと感じた大店の主人も、もし負けたら近江屋を箱根へご招待と言い出す。そして盃など酒の支度が始まる。

 戻って来た久造、すぐに「飲ましてもらうべえ」だ。小さいのでちびちびやるのは面倒だからと、一升入りの大盃で飲み始める。1杯目は一気に、2杯目からは美味い美味いと味わいながら、賭けをした2人の胸の内を探りながらの余裕だ。

 自分は丹波の生まれで、大江山の酒呑童子の親戚だなんて大法螺(おおぼら)のジョークさえ飛び出し、無芸どころか「お飲む人花なら蕾(つぼみ) 今日も咲け咲け明日も咲け」、「あだな立て膝 鬢(びん)掻き上げて 忘れしゃんすな今のこと」なんて粋な都々逸を歌いながら3升飲んだ。

 大店の主人はまだまだこれからだ何て言っている内にあっさり五升を飲み干してしまった。

大店の主人 「近江屋さんあたしの負けだ。久造さん、さっき外へ出て行ったのは、酔わないのまじないでもしに行ったのか」

久造 「五升なんて酒は飲んだことがねえから、表の酒屋で試しに五升飲んできた」





首塚大明神(老ノ坂峠(193m)近く 《地図》)
大江山の酒呑童子の首を祀った塚。
山陰道(丹波口→亀山宿)』





酒呑童子(『ピクシブ百科事典』より)


                

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