「狸の鯉」

 
あらすじ 昼間、藪寺で子どもにいじめられている子狸を助けた八五郎の所へ子狸が礼に来る。親狸から助けられた恩返しをしないのは人間も劣る、狸の道にももとることだと諭されて来たという。

 子狸は恩返しをして帰らなければ勘当になる、何にでも化けられると言うので、(コイ)に化けてもらう。兄貴分のかみさんがお産をしたが、乳の出が悪いと言うので鯉を持って祝に行こうという算段だ。子狸の化けた鯉はちょっと生暖かく、所々に毛が残っているが、まあいいだろうと、兄貴分の家に持って行く。

 喜んだ兄貴分は早速、鯉こくにして女房に食わせると料理支度を始めた。あわてた八五郎は用事があるから狸を見捨ててさっさと帰ってしまう。

 置き去りにされた狸鯉は、「まな板の鯉」はまっぴら御免と、あわや出刃包丁から切られる寸前に手を出して引っ掻き逃亡開始だ。台所の土間に積んであるを伝わって窓へと登って行く。

兄貴分 「あぁ、あれが本当の鯉の薪(たき・滝)登りだ」


    



古今亭志ん生の『たぬき【YouTube】





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