「狸の遊び」

 
あらすじ 八五郎から助けてもらった子狸、サイコロ、お札、鯉、茶釜に化けて恩返しに励んだ。今度は逆に吉原に遊びに連れて行ってくれと、ませたことを言う子狸だ。一度助けただけなのに、四度も化けてくれて随分と世話になった八さんは、子狸を若旦那に化けさせて吉原へ連れて行く。大門をくぐると花魁道中に出くわす。

 若旦那に化けた子狸は、これが狐、狸のようながなくても人を化かす、「お(尾)いらん」(花魁)かと、その化け方の見事さに目を見張り、もの珍しそうにキョロキョロとしている。八さんは若旦那から尻尾が出てバレないうちに見世に上がる。

 お引けとなって若旦那に化けた子狸が部屋で狸寝入りで待っていると花魁がやって来た。花魁、「起きなさいよ、おまえさんタヌキだね」とすっぱ抜かれ、化けるのも上手(うわて)だが、化けの皮をはがすのも上手いと舌を巻く。

 花魁は、「おまえは伊勢屋の若旦那に化けて来た芸人だろう」と、追い打ちを掛ける。若旦那狸は、簡単に見破られて返す言葉もなく、布団を被って顔を隠した。

花魁 「尻尾を出しなよ。おまえさんタヌキ幇間・太鼓持ち)だろう」と布団をめくった。

子狸も観念して「はい、そうです」

花魁 「タヌキなら寝てなんかいないで、夜通しタイコを叩きなさいよ」

子狸 「タイコは叩けませんが、腹づつみなら打ちましょう」


    



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