「つぼ算」  桂枝雀

 
★あらすじ★
 徳さんの家に友達が来る。一荷入りの水壺が割れてしまったので、一緒に二荷入りの水壺を買いに行って欲しいという。
友達の女房が、あんたは買い物が下手だが、徳さんは腹黒いので買い物がうまいからおだてて付いて行ってもらえといったという。

 仕方なく徳さんは友達と瀬戸物町に水壺を買いに出かける。
瀬戸物屋の店に来ると徳さんは一荷入りの水壺の値段を聞き始める。
店の番頭は、軒並みずうーっと同商売だし、朝商いでもあるので精々勉強して安くしてまけて3円50銭だという。徳さんは軒並みずうーっと同商売でなく、朝商いでもなく勉強しないで、安くしないでまけなかったらいくらだと聞く。するとやっぱり3円50銭という答えだ。なんとか3円にまけさせ、二人で天秤棒でかついで帰りはじめる。

 友達が二荷入りの壺を買うことを思い出し騒ぎ出す。徳さんはこの壺がじきに二荷入りの壺になるのだといい、途中まで行ってまた店に戻る。
買いたかったのは二荷入りの壺で、いくらだと聞くと番頭は一荷入りの倍の値段だという。
徳さんはそれなら6円でいいだろうという。番頭は6円だと1円もまけてしまうことになるので困るという。徳さんはうまいことをいって6円で話をつけ勘定の支払いとなる。

 徳さんは今買った一荷入りの壺をいくらで引取ってくれるかと聞く。
番頭は元値の3円で引取るという。すると、徳さんはさっき渡した3円とこの壺の引取り代の3円で合計6円で、二荷入りの壺を持っていってもいいだろうという。
番頭もそういう勘定になりますというので、二荷入りの壺を運び出す。

 すると、勘定のおかしいことに気がついた番頭が追ってきて、勘定についてのやりとりが始まる。ややこしい勘定に番頭は徳さんにいわれてそろばんを入れる。何度やっても6円だ。
番頭さんは店の者に大きなそろばんを持ってこさせはじくがやっぱり6円となる。
いらついて今にも泣き出しそうな番頭さん、いくらやっても銭の3円と壺の3円で6円となり、ついに

番頭 「ええ−、もうけっこうです。この壺持って帰っておくれなはれ。」

徳さん 「ははっ こっちの思うつぼや」
 収録:平成2年
演芸指定席

  

 
★見聞録★ 枝雀は普段演じる噺の中でも好きな落語だと言っています。
瀬戸物町に壺を買いに行く途中で、徳さんが上手な買い物のやり方を友達に話し、友達がとんちんかんな応答をするところ、瀬戸物屋の番頭と徳さんの値段の駆け引きや会話が笑わせます。
そして、徳さんからややこしい勘定の難問?珍問をつきつきられた番頭さんが、四苦八苦する表情がなんとも言えません。時には後ろ向きにもなる枝雀の落語は見る落語とも言えるでしょう。

一荷とは、「てんびん棒の両端につけて、ひとりの肩に担える分量」(三省堂大辞林)
そこで、一荷入りの水壺とは、てんびん棒の前後の桶の二杯分の水が入る壺のことでしょう。



桂枝雀の『つぼ算【YouTube】


   瀬戸物問屋街の店先『せともん町』
 《地図

落語では「軒並み、同商売の店が並んでいる。」とありますが、今は店数は少ない。 
   陶器神社(問屋街の東側の坐摩神社の境内社) 



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