「常太夫義太夫」(東の旅D)

 
あらすじ
 喜六、清八のお伊勢参りの二人連れ、日が暮れてきたがあたりに宿はない。
村の庄屋の家で一晩の宿を乞うが、旅の者は泊められないと言う。
庄屋が浄瑠璃が好きな事を小耳に挟んでいる清八は、自分たちは浄瑠璃語りだと言い出す。庄屋は浄瑠璃語りなら、自分から頼んだことにすれば泊められないこともないと言い名前を聞く。
清八は常太夫(つねだゆう)と義太夫(ぎだゆう)と言うと、庄屋はあの有名な義太夫さんかとびっくり。清八はあわてて、その有名な義太夫の名を継いだ、次の次のずっと後の義太夫だと弁解する。

 庄屋はおかしいと怪しみながらも、泊めてやることにし、一段聞かせてくれとせがむ。
清八は三味線弾きがいないと語れないと切り抜けるが、庄屋は明日の朝、三味線弾きを呼ぶから今日はゆっくり泊ってくれとしぶとい。
腹が減って疲れている二人はこの際と腹一杯飲んで食って、祝儀まで先取りして、その晩はぐっすりだ。

 そして二人は夜が明ける前に庄屋の家からとんずらを決め込む。村はずれの寂しい鎮守の森に差しかかると、どこからともなしに「つねだゆぅ〜、ぎだゆぅ〜、つねだゆぅ〜、 ぎだゆぅ〜」と呼ぶような声がする。庄屋と二人しか知らないはずの名前を呼ばれて気味が悪くなったが、そこは恐い物見たさでは人一倍の二人、声のする方へと近づいて行く。
お宮の下から声がするようで床下を覗き込むと、これも宿を取り損ねたのか、おこもさんか、二人で肩を寄せ合って、
「つめたぁ〜い、ひだる〜い、つめたぁ〜い、ひだる〜い」


   

                 鎮守の森

 



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