「つる」
★あらすじ 横町の物知り顔で、自称「生き字引」の甚兵衛さんの所に来た男、鶴はなぜ「日本の名鳥」というのか聞く。甚兵衛さんは鶴は姿が優雅で美しい上に、一度、雌雄のツガイが決まると他には目もくれず、生涯、操(みさお)正しい鳥だからと言う。
男は鶴は姿形は美しいが異様に首が長いと言う。すると甚兵衛さんいわく「昔は鶴とは言わず首長鳥(くびながどり)言った」、半分納得しかけた男は「なぜ、首長鳥を鶴と呼ぶようになったのか」としつこい。
甚兵衛さんいわく、「昔、ひとりの老人が浜辺へ立って遥かな沖合いを眺めていると、唐土(もろこし)の彼方から首長鳥のオン(雄)が一羽、”ツ〜〜”と飛んで来て、浜辺の松へ”ポイ”と止まった。そこへ、首長鳥のメン(雌)が”ル〜〜”と飛んで来て、これも浜辺の松の木へ”ポイ”と止まった。これを見ていた老人が これは首長鳥じゃと思っていたが、これはツル(鶴)じゃな」で鶴と呼ぶようになったとからかう。
これを聞いた男は町内に言って回ると、甚兵衛さんが止めるのも聞かず出て行く。早速、友達の家に来た男、「首長鳥が鶴になったいわれを聞かせようとするが、友達は「要らん」とつれない。
どうしても喋らなければ収まらない男は、「昔ひとりの老人が浜辺へ立って遥かな沖合いを眺めて・・・・」と始めた。「唐土の彼方からまず最初、首長鳥のオンが”ツル〜” と飛んで来て、浜辺の松へポイッと止まったんや、あとへメン がお前、メンが・・・・・、さいなら」と甚兵衛さんの家へ駆け戻った。あんな恥ずかしいこと何べんも言えないという甚兵衛さんからもう一度言わせて、また友達の所へ舞い戻る。
「また来よった」と呆れる友達に、今度は間違わないと「昔ひとりの老人が・・・・」と始めた。「唐土の彼方から、まず最初首長鳥のオンが一羽”ツ〜〜”と飛んで来て、浜辺の松へ”ル”と止まったんや」、「あとへメンが・・・メンがやでお前・・・、メンがやで・・・」
友達 「メ ンがどぉしたんや?」
男 「黙って飛んで来たんや」
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★桂枝雀の『つる』【YouTube】
鶴林寺のつる
『四国遍路道(阿波国E)』
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