★あらすじ 吉原で芸者置屋を営む師匠の家に居候している幇間の一八は、美人芸者のお梅に四年半の岡惚れ、ぞっこんだがお梅の気持ちがはっきりしない。
今日こそはと涙ぐましく口説くと、一途な思いが通じたのか、情けにほだされたのかお梅は本当に女房にしてくれるのなら、今夜二時に自分の部屋に来てくれという。ただし、五分でも遅れたたらだめ、酒が入るとずぼらになって忘れるから絶対に飲むなと釘をさされる。
有頂天、大喜びの一八は今夜限りの禁酒の誓いを立てるが、運の悪いことにしばらくぶりの贔屓(ひいき)の旦那の樋ぃさんが来る。吉原は飽きたので柳橋で騒ごうときた。むろん今夜は具合が悪いと断る一八だが、ちょっと意地悪で嫌味のある樋ぃさんはしつこい。ついに一八はお梅との約束事を白状する。樋ぃさんもそれならと聞き分けがいい、と思いきや十二時まで付き会えとしぶとい。
仕方なく樋ぃさんのお伴で柳橋のお茶屋へ繰り込む。時間ばかり気にして遊びに身が入らない一八に酒癖の悪い樋ぃさんは無理難題を吹きかける。耐えに耐えて何杯も酒も飲まされた一八は、酔って階段から落ちたフリをしてお茶屋を抜け出して師匠の家に戻る。
お梅の部屋に行くには色恋沙汰にうるさい師匠の枕元を通らねばならない。一八は着ている物を脱ぎ、縄を作って天井の明かり取りの窓から下りてお梅の部屋へ行く算段をする。さあ、準備万端だ後は二時にお梅の所へ行けば長年の夢が叶い大願成就だと安心した一八は思わず寝込んでしまう。
やっと起きるともう朝だ。あわてて、つるつると下りると師匠が朝飯を食べている所に裸でゆらゆら。
師匠 「この野郎、寝ぼけやがってッ。何だそのなりは」
一八 「へへ、井戸替えの夢を見ました」
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