「七段目」

 
あらすじ
 芝居に凝った大店の若旦那の孝太郎。店の使いに行ったきり帰って来ない。やっと芝居のまねをしながら帰って来た孝太郎に大旦那は小言をいうが、暖簾に腕押し、馬耳東風、柳に風、蛙の面に・・・で、芝居気取りで受け流し、反省の様子は全くない。

 かんかんに怒った大旦那は孝太郎の頭をポカリ、孝太郎も親父に掴みかかろうとした所で番頭が割って入るいつものパターンだ。孝太郎は静かにしていろと二階に追いやられる。階段を芝居気取りで二階に上った孝太郎は静かにしているどころか、すぐに芝居のまねに熱中し始め、そのやかましいこと。

 大旦那は小僧の定吉に静かにするように二階へやるが、定吉も、3度の飯を4度食っても直らない大の芝居マニアだ。2人は二階で意気投合、定吉は孝太郎の妹の着物を着て手拭でほおかむりしたおかる。幸太郎は平右衛門で、床の間の本物の刀を腰に差し、七段目の「祇園一力茶屋の場」の芝居を始める。

 ちょうど隣から稽古屋の師匠の爪弾く三味線が音が聞こえてきて、舞台効果は満点だ。佳境に入ると若旦那は夢中になり、抜かないと約束した刀を抜いて振り回し、「妹、その命、我がもらった」と定吉のおかるを追い回す。

 逃げ回るうちに定吉は足を滑らせ階段から転がり落ちる。水を飲まされて気がついた定吉は、「私には勘平という夫のある身」なんてまだ芝居の続きをやっている。

大旦那 「お前、うちの馬鹿と二階で芝居をして、てっぺんから落ちたか」

定吉 「いえ、七段目」

          



三遊亭円歌(二代目)の『七段目【YouTube】



「忠臣蔵 七段目」九太夫と酒を飲む由良助(広重画)



書状を読む由良助だが、二階にはおかる、
縁の下には九太夫が。勝川春英画。



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