「うどん屋」

 
あらすじ 屋台で流しのうどん屋酔っ払いが千鳥足で寄ってくる。
酔っ払いは屋台を置かせ、火に当たりながらからんで来る。「うどん屋、お前仕立屋の太平を知っているか。一人娘のミー坊が婿を取って、婚礼の帰りだ。ミー坊は俺の前に両手をついて、「おじさん、さてこの度はいろいろお世話になりまして・・・・」なんて、ちょっと前まで鼻をたらしていたミー坊がこのあいさつだ、どうだ、うどん屋」、うどん屋が適当に相槌を打つと、火に炭をつがせながら「うどん屋、お前仕立屋の太平を知っているか」と何度も繰り返す。

酔っ払いは「水をくれ」、うどん屋が「お冷ですか」でまたからんでくる。「酔いざめの水千両と値が決まり」だが、この水はいくらだ。「ただです」でもう一杯おかわりする。
酔っ払いは、「かみさんによろしく言ってくれ、ありがとよ」と立ち去ろうとする。うどん屋が「うどんを差し上げたいんですが」と引き止めると、「うどんを持ち上げて見ろ」とまたからむ。
あげくは「俺、うどんは嫌えなんだ」、うどん屋「雑煮はどうでしょう」、「酒飲みに餅を勧めるやつがいるか、馬鹿」と捨てゼリフを吐き酔っ払いは立ち去ってしまう。

あきらめたうどん屋、気分を新たに「鍋焼き〜うど〜ん」と屋台を引いて歩き始める。すると、「ちょいと、うどん屋さん」と声がかかる。しめたと思いきや、「子どもが寝たばかりだから静かにしてちょうだい」。

今日は厄日だ、裏通りはだめだと、表通りに出る。大店の木戸の前で、かすれた小さな声で「うどん屋さん」と若い衆から呼び止められる。奉公人が何十人もいそうな店で、今日はここで総仕舞かと、うどん屋は取らぬ狸の皮算用だ。うどん屋も小声で、「おいくつ」、若い衆の「一つ」にがっかりしたが、味見役の小僧さんで、うまければ追加があるのだと、熱くしたうどんを差し出す。若い衆はうまそうに口も聞かず、つゆまで飲みつくす。
若い衆 「ごちそうさま、おいくら」

うどん屋 「ありがとう、ございます」

若い衆 「うどん屋さん」、追加注文かと身を乗り出して、

うどん屋 「へぇ−」

若い衆 「お前さんも風邪を引いたのかい」





柳家小さんの『うどん屋【YouTube】






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