「魚の狂句」

 
あらすじ 大声で「新町へ遊びに行こう」と、友達が誘いに来た。”新町”と聞いてかみさんは気を悪くして外へ行ってしまった。

●「お前も川柳の一つもひねろうという奴やないかいな。”新町、新町”と大声で言わんとも、言いようがあるがな。物にたとえてなぞられて話をせんかいな」

△「ほな、仮に新町を句にしたらどう言うねん」

●「新町といえば江戸の吉原、京の島原と並ぶ日本三遊郭の一つや。太夫という名前が許されている格式があるところやさかい、魚で言やあ、鯛(たい)か。潮煮や鯛の風味の名も高してな言うたら新町の気分が出るやろ」

△「ああ、なるほど宗右衛門町島之内やったらどうだ」

●「そやなあ、島之内また別の勢いがあるよって、鯛よりもその勢いを初鰹(はつがつお)てなもんか」

△「上手いなあ、難波新地なら」

●「新しい所だけに活気が違うよって、若鮎のうらやましくぞ見えにけるとでもしょうか。

△「北の新地は」

●「北はまた粋なところがあるやさかい、風鈴の音も涼しき洗い鯉」てなもんか」

△「堀江は」

●「葉生姜をちょっと相手に鰈(かれい)かなでどうや」

△「坂町は」

●「坂町はいろいろやさかい、昆布巻きの中に鮒(ふな)ありもろこありてなもんじゃ」

△「おもろいなあ、松島は」

●「だんだん下落するなあ、玉味噌の悪(わる)土臭き鯔(ぼら)の汁とでも行こか」

△「色街は大体片付きよって、これが素人の堅気の娘はんやったら」

●「そやなあ、寿司につけたまだ水臭き細魚(さより)かなてなもんじゃ」

△「後家さんは」

●「色っぽく、匂いには誰も焦がるる鰻(うなぎ)かなと行くか」

△「妾(てかけ)はんやったら」

●「いしなぎや毒のあるのを知りながらてなとこか」

△「女中(おなごし)は」

●「つまみ食いあと生臭き鰯(いわし)かな

△「ほな、間男は」

●「そやなあ、間男の味はまた格別やというやさかい、河豚汁(ふぐじる)や鯛のあるのに無分別とでもしょうか」

△「尼はんならどうする」

●「タコイカ(蛸・烏賊)はなぜに魚のようでなし

△「上手い、恐れ入った。自分のかみさん、嫁はんやったらどう行く」

●「そらまあ、これはまた無くてはならぬ鰹節(かつおぶし)やろ」

△「うぅーん、なるほどや、これが一番ええで、こいつ気に入ったなあ」

●「えらい鰹節が気に入ったやんか」

△「あぁ、ほいでまた、お前をだしにするねん」


  
         




桂米朝の『魚の狂句【YouTube】




宗右衛門町



北新地



堀江の立花通りの家具屋街 《地図



松島公園 《地図
寺島の北端(松島公園の北端あたり)に樹齢300年とも言われる
松の大木があったことから、「松が鼻」と呼ばれていた。
「松島」の地名は、松が鼻と寺島の一字を取ったと言われている



旧坂町を横切る紀州街道跡(千日前一丁目)



島原大門 「説明板
山陰道(丹波口→亀山宿)』


輪違屋
現在も営業中の置屋兼お茶屋


角屋(すみや) 《地図
置屋から太夫や芸妓を呼んで遊宴する所。「説明板






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