「夕立勘五郎」


 
あらすじ 浪花節が大好きな熊さん、今日は仕事が休みで浅草の寄席に行く。お目当ては広沢虎造の弟子と触れ込みの広沢熊造で、出し物は夕立勘五郎だ。松平出羽守(不昧公)の愛馬夕立が往来へ暴れ出したのを侠客の伊賀屋勘五郎が両手を広げて止め、拳固で殴り殺した。以来、夕立勘五郎の異名を取ったという話だ。

 前座が終わり、熊造先生が登場する。「♪アアー、ヌグヌグスク(賑々しく)、ゴレージョータワマリ(ご来場賜り)マステェー、アズクオンレイッコサモウスアギマス(厚く御礼申し上げます)・・・イドノキョウガクウーダツカンゴロノモノガタリ、オズカンマデェ(江戸の侠客、夕立勘五郎の物語、お時間まで)・・・・♪」、と凄いのが始まった。

 「♪・・・ムカスカラユウメイナキョウガクニャア(昔から有名な侠客には)、ツムズミナトノゾロチョウ(清水港の次郎長)、オーミャーダノエーゴロウ(大前田の英五郎)、クヌサダムラノツーズ(国定村の忠治)ナンテノガエエアオアブン(親分)ダガァ、コノハナスノスズンコウ(主人公)ノウーダツノカンゴロもスゲエッツスヨ(夕立の勘五郎も凄いっすよ)♪」、「♪アルスノコト(ある日のこと)、マツダイラコウガエカクカワイガッテイルウーダツテエウマガ(松平公がえらく可愛がっている夕立てえ馬が)・・・往来を駆け出スて来たよ・・・カンゴロハリョウノテサオッピロゲテタツフサゲッタイ(勘五郎は両の手さおっぴ広げて立ち塞がった)・・・馬の横ッ腹ぁ、こんあ大きな拳固(ギンコ)で、はっくり返(けえ)すと、馬ぁ、おっつんだ(死んだ)でねえけえ。うーだつのえみょう(夕立の異名)を取ったウーダツカンゴロのお粗末だがあ・・・おズカンダデ(お時間だで)、またミョウバンのオアズカリィ(明晩のお預かり)・・・」、

熊さん 「何だこりゃ、おい熊造先生、夕立はどこの侠客だ」

熊造先生 「うーだつ(夕立)はいど(江戸)のきょうがく(侠客)だ」

熊さん 「ひでえ訛りだ。こんな浪花節は初めてだ。聞いている時にゾォーッとしたぞ。」

熊造先生 「あれは聞いている時はゾォーッとするもんだ。名前(なめえ)が夕立(ウーダチ)じゃ」



         


       


月照寺(松江市外中原町)
歴代の松江藩主松平家の菩提寺・墓所。



松平不昧公の墓所から松江城



忠治茶屋 「店内
日光例幣使街道②






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