「五銭の遊び」


 
あらすじ 町内の若い連中が集まって女郎買いの話をしている。女にもてたとか景気のいい遊びをしたという話はなく、振られた、ぼられた、金が足らなくて居残った、なんて話ばっかりを自慢げに話している。

 すると辰公が、「おれは五銭の白銅一枚と五厘で女郎買いをした」と言い出した。
辰公 「五厘でおでんのコンニャクを食べて、吉原へ行って一回り冷やかしたら大引け過ぎ。三味線の音がするので、投節を唄ったところ、ちょいと色男、いい声だね。上がっておいでよと声ががかった。白銅を見せて、これっきりしかねえんだって言ったら、どう見間違えたんだかあとはあたしが引き受けるから大丈夫だよって言うから上がったんだ。女は二晩もお茶を挽いていたんで喜んだが、こっちはコンニャクしか食ってなかったんで腹が空いてたまんねえ。女は廊下にあった残り飯を持ってきてくれたんで、梅干しを頭に浮かべながら飯をかっこんだ。お引けになって若い衆が勘定を取りに来たから白銅を投げ出すと、ご冗談を・・・とあきれ顔。女も”二十銭銀貨と思ったから上げたんだ”と、目を回しそうになっちまった。また埋め合わせに来るからよって外へ出ちまった。知った見世の前まで来たら、ちょうど女たちが客を送り出していた。その中の女から、留公、お前に、たまには顔を見せておくれよって言ってくれと頼まれた」、熱心に話を聞いていた留公はすっかり色男気分だ。

 すると源公が身を乗り出してきて、
源公 「おれの女もなにか言ってなかったかい」

辰公 「ああ、うちの源さんはどうしたんだよって聞くから、火の番をしているとはぐらかしたら、”ほんとのことをお言いよ”ってしつけえんだ。近頃、あいつは勤め人になって夜も忙しいんだって言ってやった。女がどこの会社だいってえから、千住から草加までのガタ馬車に勤めていると言ってやった。女が馭者(ぎょしゃ)かい、それとも車掌かい?って聞くから、の掃除係だと言ってやったんだ。そしたら女がそうだろ、どおりで馬の糞みたいな顔してるもんねだとさ」


   




ガタ馬車(千住馬車鉄道)が茶釜橋(現・千住新橋(荒川))を渡って行く。



        

608(2017・12)




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