「羽衣」


 
あらすじ クレヲパトラ、楊貴妃、本朝では小野小町、照手姫衣通姫、常盤御前、静御前に袈裟御前・・・、古今東西美人は多いが、天女の美しさには足元にも及ばない。空を飛んでいるのだから仕方がないが。

 ある時、天女さんが三保の松原の上を優雅に飛んでいると、その景色の素晴らしさに浜に降りて一休み。に着ていた羽衣を掛けて浅瀬で水遊びで楽しんでいた。

 すると間が悪いことにここを通り掛かったのが、伯良という酔いどれ、ドスケベ、博打の三道楽男。松の枝でふわふわ揺れて、いい匂いを放っている羽衣を見つけ、「こりゃあ、上物の着物だ。こいつを売っ払ってまた遊ぼう」と、羽衣を持ち去ろうとする。

 気づいた天女が追いかけて、「それは天人の持つ羽衣と申す物、みだりに下界の者の持つ物にあらず。我に返してたも」

伯良 「何を言いやがる、俺が拾ったもんだ。ぐずぐず言うない・・・」と、天女を見ると水に濡れた薄い着物が肌にピッタリくっついて半透明で真っ白な肌がスケスケ、困って憂いを含んだ顔は何とも色気たっぷりで、伯良の劣情を刺激した。

伯良 「どうだ、俺の女房にならないか。可愛がってやるでよう」と、よだれを垂らしそうに迫る。

天女 「我にその衣を返したまえ」

伯良 「駄目だ。これを返せばお前はどっかへ飛んで行っちまうだろ。三日でもええから俺の女房になったら返してやろうじゃねぇか」

天女 「その衣なき時は、動くことができません。返していただければそなたの意に従います」

伯良 「そうか、そうなら後ろから衣を掛けてやる。嘘をつくなよ」と、伯良が羽衣を天女の背中に掛けると、一陣の風が吹いて来て天女の身体は空中高く舞い上がった。悔しがって、

伯良「この野郎、天人のくせして騙しやがって、今言ったことはどうしたんだ」

天女 「みんな、空事だよ」







羽衣の松(羽衣公園) 「説明板
各地にある羽衣伝説と、千葉氏改姓の由来話。
都川には羽衣橋がある。 『房総往還②



浜寺公園  『紀州街道①
ここに羽衣の松(浜寺三名松のひとつ)があった。
近くの「羽衣駅」にその名が残っている。
明治6年に公園として指定された大阪で最も古い公園の一つ。
古来の白砂青松の景勝地の歌枕の地、「音に聞く高師の浜」も近い。





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