★あらすじ 今日も町内の悪ガキどもが道端で仕事をしているいかけ屋を取り囲んだ。
悪ガキの「おっさん、えらいご精が出まんなぁ」から今日のいたぶり、からかい、おちょくりが始まった。
悪ガキ 「キミィ、そこで火ィ起してるのは、どういう目的じゃ?」
いかけ屋 「錫(カネ)を湯に溶かしてるんじゃ」
悪ガキ 「おっさん造幣局か造船所か?」
悪ガキ 「おっさん、その青い火から幽霊が出るか?」、「君は細君がおりますか?」、「鋳掛屋だけに鋳掛屋同士でよくくっつくな」、「お子さんはお嬢ちゃんですか、
お坊ちゃんですか?」などと、次々と質問をしてからかっては、いかけ屋が苛立つのを楽しんでいる。
悪ガキの大将は「金づちを貸せ」という。「一番大事な道具や、貸したる代わりにな、家帰って、おのれとこの鍋釜の底に、コツンコツンと穴あけて来い」
悪ガキ 「そんなことしたら、お父う、お母んに叱られるがな」
いかけ屋 「それくらいのこともできんで、一人前の悪さになれるか。おっちゃんがお前らの頃は、金づち持って、鍋釜の底に穴あけに回っとったわい」
悪ガキ 「ははぁ、そんで、大きゅうなって直しに回ってんのんか」と、いかけ屋は完全にやり込められ、無視して仕事をするしかないが、悪ガキどもはしぶとく、あきらめない。
悪ガキ 「貸さんかったら火ィ消すぞ」
いかけ屋 「おっちゃんが苦労して起した火、どないして消すねん」
悪ガキ 「へへへ。ションベンで消したろか」
いかけ屋 「抜かしやがったなこのガキ。消せるもんやったら消してみい」
悪ガキ 「あぁ、何でもないこっちゃ。おい、松ちゃん、梅ちゃん、よっちゃんに竹ちゃんみな来い」、悪ガキどもは自前のホースで炉に向かって、一斉に消火放水を始めた。
いかけ屋 「あぁぁ〜、ホンマに消しゃがった」
今日のいかけ屋いじめはこれ位にしてと、悪ガキたちは次の標的、犠牲者のうなぎ屋をめざして駆けて行く。
うなぎ屋に到着した悪ガキ隊は、看板を「へび屋」に書き替えたり、五十円の品札を百円の品に掛け替えたり、ウナギのタレの瓶に指を突っ込んでなめるは、タレのしゃもじをなめて落とし、拾って瓶の中に突っ込むはのやりたい放題の大活躍で、うなぎ屋も商売上がったりとなってしまった。おなじみのいかけ屋でございました。
|