★あらすじ 八五郎が隠居の所へ遊びに行くと、隠居は変わった着物を着ている。聞くと十徳(じっとく)だそうだ。八さんが、何で十徳というのか聞くと、「立てば衣のごとく、座れば羽織のごとく、ごとくごとくで十徳だ」という答え。
さらに、「武蔵国と下総国の両国をつないだから両国橋で、一石橋は、呉服町の呉服屋の後藤と、金吹町の金座御用の後藤が金を出し合って架けたから、ゴト(五斗)とゴトで一石だ」と追加までしてくれた。
仕入れた薀蓄をすぐに誰かに喋らなければ気がすまない八さんは友達を捕まえ、「両国橋のいわれは知っているか」に、「そんなこと子どもでも知っている」と軽くいなされ、一石橋も知っていてダメだ。それではと十徳のいわれはと聞くとさすが友達もこれは知らない。やっと我が意を得たりと八さんは自慢げに十徳のいわれを披露だ。
八さん 「ええと、立てば衣のようだ、座れば羽織のようだ、ヨウだヨウだで、や〜だ」
友達 「いやならやめちめぇ」
八さん 「そうじゃねえ、立てば衣みてえ、座れば羽織みてえ、みてえみてえでむてえだ」
友達 「眠むたけりゃ寝ちまいな」
八さん 「立てば衣に似てる。座れば羽織に似てる。にてるにてるで、よってる」
友達 「おめぇ、昼間から酔っぱらっているのか、いいご身分だな」
八さん 「違った、立てば衣に似たり、座れば羽織に似たり、ニタリニタリで、うーん(したり顔で)、これはしたりだ」
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