「蛙の女郎買い」


 
あらすじ 「惚れて通えば千里も一里 長い田んぼもひとまたぎ」、今日も吉原へ客やらひやかしやらが大勢、ゾロゾロと歩いて行く。

 これを毎晩、田んぼの中から見ているたち、
殿様蛙 「女郎買いってのはよっぽど面白えようだ。俺たちもたまには行って花魁にもてようじゃねえか」

蛙たち 「行こう、行こう」で、衆議一決。

殿様蛙 「四つん這いじゃ、大門はくぐれめえ。歩けるようになんなきゃいけねえ」と、蛙たちは浅草の観音さまへ願掛け、歩行訓練も始まった。三七、二十一日、念願叶って歩けるようになった。

 一同整列、青も、赤も、殿様も、いぼも、ひきも、全員立って羽織を着て吉原へと繰り出した。 大門をくぐり、大見世の前へ来て、

殿様蛙 「ずーっと並んでいるのが花魁てぇやつだ。どうでぇ、みんなええべべ着て綺麗じゃねえか。こんなにいると目移りして行けねえや。お前、どの女がいい?」

いぼ蛙 「そうだな、おれは上から四枚目の女がいいな」

殿様蛙 「どこがいいんだ?

いぼ蛙 「着ている仕掛けが八つ橋だ。おれたちは八つ橋が恋しいよ」

殿様蛙 「なるほど、なんという女か聞いて見ろや」

いぼ蛙 「若い衆(し)さん、八ツ橋仕掛けを着ている花魁はなんて名だい?」

若い衆 「はあ?私どもの店には八つ橋の仕掛けを着た花魁はおりませんが・・・」

いぼ蛙 「あそこにいるじゃねえか」

若い衆 「ああ、その花魁ならお向こうの見世ですよ」。

 蛙だから立っていると目が後ろの方を見ていたなんていう馬鹿馬鹿しいお噺。



   

 在原業平の「八つ橋伝説地」は『東海道(藤川宿→知立宿)』に記載。




浅草田甫酉の町詣(名所江戸百景色・広重画)

新吉原



紙洗橋 『山谷堀公園
このあたりには浅草紙の生産所があり、「冷やかす」という言葉が生まれた。


        




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