「王子の狐」 柳家小さん(五代目)
★あらすじ★ 田んぼの稲むらの陰で、狐が若い女に化けるのを見た男。化かされる前にと、女に「お玉ちゃん」と声をかけ、一緒に料亭扇屋の二階に上がる。
女に化けた狐は食べて、飲んで酔って寝てしまう。男は玉子焼き三人前をみやげに、代金は二階のご婦人が払うと言い帰ってしまう。
女中に起こされた女、勘定は自分持ちだと聞かされ、驚いて神通力を失い狐の正体を現してしまう。店の若い者から袋叩きにあった狐、最後の一発を放し、なんとか逃げる。
店の者は主人から、「この店が繁盛しているのは王子稲荷様のお陰なのに、そのお使い姫の狐になんということをしてくれた」と叱られ、主人共々王子稲荷に詫びに行く。
一方の狐をだました男も、狐は執念深いから、家族は一生祟られるぞと脅かされ、手土産を持って謝りに王子稲荷の狐穴を探しに行き、狐穴から出て来た子狐を見つけ訳を話し謝って、土産を渡す。
狐穴に戻った子狐は母狐に、
子狐 「きのうの謝りに来たってこんなもん持って来たよ」
母狐 「なんだいそりゃ」
子狐 「あけて見ようか」
母狐 「あけてごらん」
子狐 「あ、ぼたもちだ、おっかさん一つ食べてもいいかい」
母狐 「ああ〜、食べちゃいけない。馬の糞かも知れない」
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★見聞録 平成8年8月のTBS「落語特選」から収録したのを見ました。柳家小さんが人間国宝になった直後の高座だそうです。狸顔の小さんの狐もおかしなものです。
前回の「紋三郎稲荷」では、人間(狐になりすました)が人間をだまし、この噺では人間が狐をだまします。いつも悪いのは人間で動物に罪は無いようです。 |
★金原亭馬生(10代目)の『王子の狐』【YouTube】
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