「狸さい」  入船亭扇橋

 
★あらすじ★ 昼間、藪寺の所で子どもにいじめられている子狸を助けた男の所へ、子狸が礼に来る。親狸から助けられた恩返しをして来いと言われて来たという。
何かに化けて恩返しをするというのでサイコロに化けてもらい、「ちょぼ一」という、壷にサイコロを一つ入れ、目を当てる博打をしに行く。

サイコロを狸が化けた物に代えてもらい、壷を開ける前に自分の張った目を壷に向って言うと、中の狸がその目を出すので勝ち続ける。
怪しんだ仲間が目を言ってはいけないと言われ、五の目のかわりに、「梅鉢だ、加賀さまだ、天神様だぞ」と言って壷を開ける。
すると狸が冠をかぶり、笏(しゃく)を持って立っていた。


       


 ★見聞録★ 狐の噺が続いたので狸に登場してもらいました。昭和60年の大晦日のテレビ番組から収録したものです。
扇橋は枕の所は、「紋三郎稲荷」と同じで狐、狸の化け方などを話しています。
狸に何に化けてもらうかで、「電車の回数券」など一昔を感じさせる物もありました。
下げの所で、五の代わりの符牒の、「梅鉢、加賀さま、天神さま」を壺の中の狸に向かって話しかけますが、梅鉢加賀前田家、天神さまの菅原道真の家紋で、サイコロの五の目と似ていることが狸には分かりません。
五代目柳家小さんは言葉ではなく、狸が天神さまになったフリをして下げたそうです。

笏(しゃく)とは、[本来の字音「こつ」が「骨」に通うのをきらって、その長さが一尺ほどあることから「尺」の音を借りたという]束帯を着るとき、右手に持つ細長い板。(三省堂大辞林) 

*狸のゆかりの地は、『権兵衛狸』で。 

古今亭志ん生の『狸賽(さい)【YouTube】


龍福寺のしだれ梅(板橋区小豆沢)

   菅原道真を祀る
大宰府天満宮


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