「疝気の虫」

 
あらすじ 昔は「悋気は女の慎むところ疝気は男の苦しむところ」」なんて言ったものだ。
 ある医者が夢の中で変ながいるので潰そうとすると虫は命乞いをして「自分は疝気の虫といい、人の腹の中で暴れ、筋を引っ張って苦しめるのを職業にしている。蕎麦が大好物で食べると威勢よくなって大暴れし、嫌いなものは唐辛子で、それに触れると体が腐って死んでしまうので、唐辛子を見ると別荘、男の金の袋に逃げ込むいう。

 夢から醒めた医者は、治療に役立つかも知れないと、疝気で苦しんでいるの家に往診に出かける。おかみさんに蕎麦と唐辛子を用意させ、蕎麦をおかみさんに食べてもらい、その匂いを亭主にかがせる。

 亭主の腹の中にいた疝気の虫は大好物の蕎麦の匂いがするので、上がって来て亭主の口から、おかみさんの口に飛び移り、腹の中で大暴れするので、今度はおかみさんの方が苦しみ出して七転八倒だ。疝気の虫が出て行った男はそばでケロリとしている。

 医者はこの時とばかり、用意してある唐辛子をおかみさんに飲ませるさせる。上からの天敵の襲来に仰天した疝気の虫は急いでいつもの避難場所に逃げ込もうと、一目散に腹を下るが、
「別荘はどこだ、別荘は?・・・?・・・」


      



古今亭志ん生の『疝気の虫【YouTube】



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