「七面堂」


 
あらすじ ある田舎の村の七面堂に忍び込んだ泥棒。堂内は荒れていて蜘蛛の巣が張って金目の物などはない有り様だ。仕方なく香炉と木魚を風呂敷に包んで逃げ出すところを堂守に見つかって、追いかけられる。

 村人も加わってついには取り押さえられた泥棒、「つい出来心で・・・病気で寝たきりの母親に美味い物が食べさせたくて・・・」なんて陳腐な決まり文句を言っている。

 もう二度とこの村に入るなと許された泥棒、立ち上がろうとすると身体が固まって動かない。堂守と村人たちは七面様の祟りだと七面堂に泥棒を抱えて行って、「南無妙法蓮華経・・・・」と拝むと、あら不思議泥棒の身体は動くようになった。

 さあ、この話は村中に広まって、七面堂は厄除けにご利益があり霊験あらたかだと、我も我もとお参りに訪れる。噂は噂を呼んで近郷近在、遠方からも参拝者がゾロゾロ。七面堂はお賽銭と厄除けのお札で大繁盛。

 十年経った今では大きなお堂が新築され、堂守も住職となってふんぞり返り、千両箱を三つ、四つ置いて妾を囲って豪遊している。ある晩、泥棒が入った。
泥棒 「三千両出せ」

住職 「おい、お前は十年前に入った泥棒だな。あの時、わたしが拝んでやって助かったのに何てことするのだ」

泥棒 「冗談言うな。こんな立派な寺になって金も貯まったのは俺のお陰だ。三千両出せ!」

住職 「お前のお陰?何だそれは?」

泥棒 「あの時、俺の身体が動かなくなったのは芝居を打ったのよ。お堂で拝んでもらって動くようになったと思い込ませて、ご利益、霊験あらたかな寺だという噂を流させたのよ。十年経って立派な寺になるのを待ってやって来たんだ。三千両だせ」

住職 「気の長い泥棒だ。千両出すから持って行け」

泥棒 「駄目だ、三千両だ」、「千両だ」、「三千両だ」と揉めていると、

寺男 「そんな七面倒(堂)な」

もう一つのオチ、
泥棒 「七面堂のバチが当たって、また身体が固まってしまった」

住職 「この野郎、また十年経って来て一万両か」
どうぞ、お好きな方を・・・。



        



七面坂(坂下方向)   「説明板」 《地図
坂上の延命院七面堂にちなむ。
八方向のうち、仏法では辰巳の方角は鬼門とされ、
一面を除いて七面としたという。
八百屋お七の名は母親が延命院の七面堂に願掛けして
生まれたのでお七と名づけたとか。 






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