「試し斬り」

 
あらすじ 刀屋、道具屋、古道具屋を歩き回って新しい刀を手に入れたが、同僚の家に刀を自慢しに来る。同僚はこれは備前の古刀だと、いい加減な鑑定をし、斬れ味はどうかと聞く。

侍 「犬、猫を切るのも刀の汚れで、むやみに人間を斬るわけにもいかず、まだ試していない」

同僚の侍 「過日、拙者、日本橋の袂で菰(こも)を被っている寝ている乞食を、生きて甲斐無きその方の生涯、亡きあとの回向は必ず手厚く致してとらすと、新刀で抜き打ちに斬り捨てて帰りました」

 これを聞いた侍、乞食ならば斬っても詮議は厳しくないだろう、自分も試してみようと、その夜日本橋の袂へ出かける。菰を被って寝ている乞食に、

侍 「生きて甲斐無きその方の生涯、・・・・・」と言ってザーッと斬り付けると、乞食が菰をパーッと跳ねのけて、

乞食 「どいつや、毎晩どつきに来るのは!」


       



日本橋から道頓堀川
紀州街道が道頓堀川を渡る橋で、道の両側には旅籠が軒をつらね、
北詰には讃岐の金比羅参りの船着き場、
南詰には高札場があり、橋上で罪人をさらし者にした。

落語『宿屋仇


288




表紙へ 演目表へ 次頁へ
アクセスカウンター