★あらすじ 新町の瓢箪町筋のひょうたん橋で、雁金文七の浪花組と薩摩の蔵屋敷の荒くれ侍たちとの大喧嘩が勃発した。
この喧嘩の仲裁に入ったのが島之内の長堀南通りの料理屋「菱又」の親方、
親方 「待った待っ待った!やいこれ雁金、今日は相手が悪い。・・・俺が間に入ったからにはお前たちの顔の潰れるよなことはせんよってとにかく引いてくれ。
・・・お侍さま、こんなならず者、お斬りになったところでお刀の汚れ、今日のところは一番この菱又に免じて・・・」ということで、両方を菱又の二階へ上げて喧嘩の手打ち、仲直りの酒盛りということになった。
だが、運の悪い事に時化続きで肝心の魚がない。親方がどうしたもんかと困っていると、おかみさんがヌルマの焼いたのを、切らずそのまま長いまま、皿に乗せて持って出した。
当時は食べると命がないと言われたヌルマを見て、さすがの薩摩侍も渋い顔で箸をつけようとはしない。
一方の雁金文七、「えらいもん出して来よった。俺たちの度胸を試そうちゅう魂胆なんか。食わなけりゃ雁金も口ほどにもない奴っちゃと笑われ、食えば死ぬかも知れん・・・お内儀、こらヌルマの焼いたんじゃろ」
お内儀 「はい、ほんのわたしの手料理で・・・」
雁金文七 「そうか、じゃあ呼ばれるぜ」と、いい匂いだがあまり気持ちのいい物ではないが、箸でつまんで一口食ってびっくり、
雁金文七 「お内儀、こら美味い魚やなあ。お内儀、俺あヌルマというのは初めて食うたんじゃが何ともない。お内儀、美味い美味い!なあ、お内儀」 と、雁金文七が「お内儀、お内儀・・・」と連発したのが「うなぎ」と聞こえたんで、「ヌルマ」が「ウナギ」と名前が変わった。
薩摩の侍たちも雁金文七が美味そうに食って、命にも別状もないので、みんなでウナギを食べて大満足。さっきの喧嘩騒ぎはどこへ行ったやら、みんなでウナギと言う字を考え始めた。
初めてウナギを料理したのが菱又やから、魚偏に日、四、又で鰻と衆議一決。さらに鰻料理を始めて出したのがお内儀のお谷さんだ。だから料理屋「菱又」のあるあたりは鰻谷という地名になった。
ほんに、落語ちゅうもんは大したもんですな。落語は聞いとかならんもんで・・・」
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