* 「居酒屋」と並ぶ三代目金馬の決定版です。親馬鹿丸出しの熊さんと、ちょっとクールな感じのその女房が上手くバランスがとれ、笑える人情噺に仕立てています。両親と子どもの3人の登場人物が、しっかりした口調で、きっちりと色分けして描かれていて分かりやすい落語になっています。
女房が亀吉の紙入れの中に15円を見つけてから、それがねずみの懸賞で当たったものだと分かるまでの熊さんの言動、心情の演じ方も見事です。
*この噺は「ねずみの懸賞」という題の落語を金馬が親子の人情味溢れる話にしたものです。「当時はねずみが多く、捕まえて交番に持って行くと2銭もらえ、ペストが流行る時は倍の4銭くれた。それで、バイキン(倍金)という」と枕で演じています。
*熊さんは立派になった亀吉をあちこち連れて行きたかったようですが、1日では羽田の穴守稲荷までか、せいぜい川崎大師まででしょうか。
*薮入りとは、[草深い土地へ帰る意]正月および盆の十六日に奉公人が暇をもらって親元または請け人の家へ帰ること。また、その日。宿入り。宿下がり。
*蓬莱豆は、「煎った大豆に砂糖をかけて紅白にしたお菓子。源氏豆。源平豆」 |