★あらすじ 若い連中が兄貴分の家で菰かぶりの一斗樽の酒にありつく。兄貴分は横丁の豆腐屋が田楽屋を始めたので開店祝いに焼け次第、どんどん持って来いと注文したと言う。すぐに焼けた味噌田楽がどんどん届きだした。
連中の一人が味噌は「味噌をつける」とゲンが悪いから、運がつくように「ん(運)廻し」をやろうと言い出す。「ん」のつく言葉を言って、「ん」一字につき1本食えるという趣向だ。
すると誰かが「よう言わんで」で、思わず1本ゲット、「れんこん」で2本、「人参、大根」で3本、「天、天、天満の天神さん」で6本、どんどん増え「南京木綿(もんめん)、三反半三寸」で9本、「産婦三人みんな安産、産婆さん安心」で10本、「千松死んだか、千年万年、艱難辛苦、先代御殿」で11本と、焼けて来るそばから誰かが食っていく。
お次は、「先年、神泉苑の門前の薬店、玄関番人間半面半身、金看板銀看板、金看板根本万金丹、銀看板根元反魂丹、瓢箪看板、灸点」で43本というやつが現れた。「なんや、それは」と聞くと、「神泉苑の前の薬屋の前に玄関番のように人体を半分断ち割って内臓を見せた人形が置いてある。金看板には根本万金丹、銀看板には根元反魂丹、瓢箪型の看板には、灸点おろしますと書いてある」と説明し、もう一度最初から繰り返した。そしてまんまと86本とせしめてしまった。
今度は「ジャンジャンジャンジャン」と火事が大きくて半鐘が止まらないと、「ジャンジャン・・・・・」と言いながら、ジャンジャン食べる男だ。もう焼くのが間に合わず、なまの田楽が出てくる。
男 「おい、これなまやないか」
「火事やさかい、あんまり焼かん方がよかろう」
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