「ずっこけ」


 
あらすじ 居酒屋で長々と飲み続け、店の小僧からもう看板だから勘定して帰ってくれと言われても、もう一本だけ、もう一本きりと小僧をからかいながら一向に帰ろうとしないべれべれに酔った熊さん

ついには大声で都々逸まで歌い出す始末だ。店の外には面白がって見物人が集まりだした。
小僧は見せ物(もん)じゃないと追っ払っていると、その中から熊さんの兄貴分が、「おい、熊公、こんなに酔っちまって、もう帰るぞ」と店に入って来た。渡りに船と、風呂上りで金を持っていない熊さんは兄貴分に勘定を払わせ、やっと店を出た。

 べろべろに酔って一人では歩けない熊さんだが、もう一軒、もう一軒寄ろうとしつこい。兄貴分は抱きかかえて行くが、途中でずっこけて地面で寝てしまうし、立小便も一人でできずに手伝ったりするやっかい者だ。もうどてらの襟首を引きずるようにしてやっと熊さんの家にたどり着いた。

 女房のお光に引き渡そうとしたら、どてらだけで中身の熊さんがいない。途中からやけに軽くなったと思ったら、熊さんをどこかで落としてしまったようだ。来た道を熊さんを探しに戻ると、道の真ん中で人だかりがして、中でふんどし一丁の裸の男が、「兄貴は追いはぎだったとは知らなかった」と、わめいている。

 熊さんを引きずるようにしてやっと家に着いて、今度こそ本物の熊さんを女房のお光に引き渡した。

お光 「まあ、なんだねぇ、素っ裸で・・・それでもまあ、よく人に拾われなかったこと・・・」


    
        



春風亭柳枝(八代目)の『ずっこけ【YouTube】


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