★あらすじ 鳥屋町の鳥屋の職人の喜六と清八、伊勢参りを思い立ちぽいっと店を飛び出す。あちこちと遊びながらの気楽な旅だが、金も使い果たし道に迷って日も暮れかかって来た。山寺を見つけた二人は一夜の宿を乞う。住職は旅人は泊められんが、通夜ということにして泊めてくれた。
次の日は雨で旅立てず、その次の日も寺でぶらぶら、そのままずっと居続けてしまう。住職はいつまでも置いておくわけには行かないと引導を渡すが、二人は旅立つ金がないから寺に居させてくれと頼む。住職はそれなら出家して坊主になれという。すぐに軽い気持ちで頭を丸めて俄か坊主になった二人、その名も六法と八法という鳥屋坊主が出来上がった。
村の連中ともすっかり慣れ親しんだ二人は、居心地がいいのか伊勢参りなんかとっくに忘れ、早や半年余りが過ぎた。ある日、住職に京都の本山から呼び出しがかかる。葬式など難しいことは上のずく念寺に頼み、お布施などは折半すればいいと言い残し、住職は本山へと出立した。
待ちかねたとばかり、六法と八法は、「鬼の居ぬ間の洗濯」で、はめをはずずこととする。まずは粗末な物ばかり食べて油が抜けてしまったので、「かしわのすき焼き」を食おうということにする。
六法が村の庄屋の家に行き、住職がいなくなって朝早く起きられず、朝鐘を撞くのを忘れたら申し訳ないので、鶏の時の声で起きるから貸してくれとだまし、鶏をぶらさげて来る。
寺には適当な鍋がないので、どらを鍋代わりして、ねぎなどをぶちこみ、すき焼きの出来上がり、さすが元は鳥屋の職人、お経はへただが料理は手慣れたものだ。般若湯も入って二人は酔っ払い、踊り出して盛り上がっている。
そこへ村の万屋(よろずや)金兵衛が死んだから経をあげに来てくれと店の者がやって来た。住職はずく念寺へ頼めと言っていたが、そうなると分け前は半分になる。欲張りな八法は俺が行って経をあげると言って、六法を伴僧として万屋の店に乗り込み、怪しげな経をあげて誤魔化したが、今度は戒名をつけてくれと言う。
八法坊主はそばにあった「万金丹」の袋を見つけ、戒名は「万金丹」とつける。どうしてかと聞かれ、万屋の金兵衛だからだ。丹は何かに、死ぬ時に痰(たん)が詰まったからだ。肩の方に「伊勢朝熊(あさま)」とあるがそれは何かに、生きているうちは威勢が良かったが、病気で死んで浅ましいから。裏に白湯(さゆ)にて用うべしとあるがこれは何かに、
八法 「この仏はお茶湯はいらんねん」
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