★あらすじ 神田豊島町の伯父の孫兵衛の家に呼ばれた与太郎さんに、
孫兵衛 「いつまでもぶらぶらしていないで、何か商売でもやってみろ。あたしが世間に内緒でやっている商売を譲ってやろう」
与太郎 「大家の伯父さんがほかにやっている内緒の商売・・・、ああ、あれか、上にどの字がつくやつだろ」
孫兵衛 「そういえば、上にどがつくな」
与太郎 「どうも目つきがよくねえと思ってたんだ。いい加減に観念してお縄につけ、この泥棒!」
孫兵衛 「馬鹿!あきれたやつだ。大声で泥棒呼ばわりしやがって。どの字はつくけど道具屋だ」
もうけはお前にやると言われてやる気になった与太郎さん。符牒で「ごみ」という、はんぱ物、ガラクタを持って、三味線堀の知り合いの甚兵衛さんの所へ行く。
甚兵衛さんからいろいろと売り方を教わり店を広げるとすぐに客が来る。
客 「そこの鋸(のこ)を見せろ」、「のこにある?」、「そこにあるのこぎりだよ」
与太郎 「なんだ、のこぎりか、あなたギリかいちゃいけません」
客 「こりゃあ、少し甘そうだな」、
与太郎 「まだなめたことないんで甘いか辛いか分らねえ」
客 「焼がなまくらというんだ」
与太郎 「そんなことありませんよ。伯父さんが火事場で拾って来たんだからよく焼けていることは請け合いで・・・」と言って客に逃げられる。甚兵衛さんから、客が品物を見て買わずに帰ってしまうことを「小便(しょんべん)された」というと教わるが、次の客にも小便されてしまう。
今度の客は股引きを見せろという。
与太郎 「見るのはいいですがねえ、小便できませんよ」
客 「なに?小便できねえ、そんな股引、誰が買うかよ」と、あきれて帰ってしまった。
次の客は短刀を見て気に入って抜こうとする。なかなか抜けないので与太郎も一緒に引っ張るが抜けない。すると与太郎さん平気な顔で、「これは木刀です」
客 「何か抜ける物はないのか」
与太郎 「おひな様の首が抜ける」
客 「そこの鉄砲を見せい・・・これは何ぼか」
与太郎 「一本です」
客 「代じゃ」
与太郎 「樫です」
客 「金じゃ」
与太郎 「鉄です」
客 「値(ね)じゃ」
与太郎 「ズドーン」
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