「道具屋」  桂文治(十代目)


 


★あらすじ★ 豊島町のおじさんの孫兵衛さんから、道具屋をやってみろと言われた与太郎さん。符牒で「ごみ」という、はんぱ物、ガラクタを持って、三味線堀の知り合いの甚兵衛さんの所へ行く。

 甚兵衛さんからいろいろと売り方を教わり店を広げるとすぐに客が来る。ノコギリを見せると客が「甘そうだな、焼けてないだろ」と聞いてきた。与太郎は「おじさんが火事場で拾ってきたからよく焼けている」と言って客に逃げられる。甚兵衛さんから、客が品物を見て買わずに帰ってしまうことを「小便された」というと教わる。

 今度の客はもも引きを見せろという。与太郎さん、「小便できませんよ」というと客はあきれて帰ってしまう。次の客は短刀を見て抜こうとする。なかなか抜けないので与太郎も一緒に引っ張るが抜けない。
すると与太郎さん平気な顔で、「これは木刀です」

 「何か抜ける物はないのか」

与太郎 「おひな様の首が抜ける」

客 「そこの鉄砲を見せい・・・これは何ぼか」

与太郎 「一本です」

 「代じゃ」

与太郎 「樫です」

客 「金じゃ」

与太郎 「鉄です」

 「値(ね)じゃ」

与太郎 「ズドーン」」

 収録:昭和61年
爛漫ラジオ寄席


      


 
★見聞録★
 桂文治の名は東西落語界の桂派の宗家ともいわれるそうです。10代目文治は真打になってからも桂伸治で長くやっていました。
テレビ、ラジオのも多く出演し、滑稽落語が得意で、「猫と金魚」「あわてもの(堀の内)」などで大いに笑わせてもらいました。

この噺のサゲはいくつもあり、「おひな様の首が抜ける」でさげている噺家もいます。ここでは、鉄砲の値段と、鉄砲の音(ね)を掛けて落としています。




「古道具屋」(「明治物売図聚」三谷一馬より)


柳家小三治の『道具屋【YouTube】

   与太郎のおじさんの住んでいた神田豊島町(現在の東神田2丁目)
   与太郎が道具屋の店を出した三味線堀付近(台東区小島1丁目)

不忍池から流れ出た水は、忍川となって三味線堀に落ち、さらに鳥越川となって新堀川に合して隅田川に落ちた。堀の形が三味線に似ていた。今は埋め立てられてしまった。『落語地名事典』(北村一夫著)




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